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Goodayクイズ

老化の主因の1つ「糖化」は、お酒を飲むと進む?

クイズで学ぶ「糖化対策」

 日経Gooday編集部

この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!

「糖化」に関する問題

【問題】老化要因の1つとして、最近話題に上ることが多い「糖化」は、お酒を飲むと進行する。これってホント、ウソ?

  • (1)ホント
  • (2)ウソ

余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質が変質

 正解は、(1)ホントです。

 「糖化」を一言で言えば、「体のコゲ」のこと。パンケーキなどを焼くと表面がこんがりしたきつね色になりますが、これはパンケーキなどに含まれる糖と、卵や牛乳に含まれるたんぱく質が結びついて起こった現象です。これが糖化です。

 糖化対策の専門家である同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授の八木雅之さんは、この糖化が体の中で起こると様々な悪影響を及ぼすのだと話します。

 「体の中で起こる糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質を変性、劣化させていくことです。たんぱく質は、臓器、皮膚、筋肉、血管などをはじめとする体を構成する重要な成分です。つまり、糖化により体を構成するさまざまな要素が劣化していくわけです」(八木さん)

 八木さんによると、牛の皮や骨などをブドウ糖溶液につけておくと、それだけで徐々に組織が糖化され、数日で茶褐色に変色し、弾力を失っていくそうです。

牛骨の糖化モデル(上が糖化処理なし、下が糖化処理あり)(提供:同志社大学 糖化ストレス研究センター)

 「糖化が進行していくプロセスでAGEs(糖化最終生成物)という物質が生成されます。AGEsはさまざまな経路を経て作られ、一口にAGEsと言っても、論文に報告されているだけでも数10種類あり、実際のところ100種類以上あるとも言われています。このAGEsこそ、老化を促進させてしまう厄介な物質なのです」(八木さん)

 「AGEsの弊害の一つに、たんぱく質の硬化があります。AGEsはたんぱく質同士を結合させ、『悪玉架橋』と呼ばれる厄介者を体内に作ってしまうのです。悪玉架橋ができると可動性やしなやかさが失われ、硬化してしまいます。さらに、体内には、AGEsをキャッチするレセプター(受容体)が存在し、そのレセプターがAGEsをキャッチしてしまうと炎症を起こすのです。このようにして、体内のさまざまな臓器の機能が低下していきます。これがいわゆる『老化』ということになります。これがさらに進むと、やがてさまざまな病気につながるのです」(八木さん)

お酒と糖化は関係あるの?

 様々な悪影響を及ぼす糖化は、「過剰な糖の摂取」により“余った糖”がたんぱく質と結びつくことが一番の原因となります。しかし、それだけでなく「アルコールと糖化は密接な関係にあります」と八木さんは話します。

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 「糖とたんぱく質が結合してAGEsを生成すると説明しましたが、実は、その生成過程の中で中間生成物として『アルデヒド』が生成されているのです。つまり、糖化のプロセスでは、糖からアルデヒドが生成され、それがたんぱく質と結びつくことで、AGEsの生成が進むのです(*1)」(八木さん)

*1 AGEsの生成経路は複雑・多経路で、実際には糖だけでなく脂質からもAGEsが生成される経路がある。

 少々専門的になりますが、アルデヒドというのはアルデヒド基(-CHO)という構造を持つ物質の総称です。このアルデヒド基には、酸素と炭素の二重結合したカルボニル基(-C=O)があり、反応性が高くたんぱく質と結びつきやすいのです。そして、それによりたんぱく質がAGEs化して変性・劣化していきます。

 このアルデヒド、お酒と密接な関わりがあります。お酒の中に含まれるアルコール(エタノール)は、体内でアルコール脱水素酵素によりアセトアルデヒドに変換されるのです。

 「アルコールが体内で分解されて生じたアセトアルデヒドも、同様にたんぱく質と結合し、アセトアルデヒド由来のAGEsができます。つまり、アセトアルデヒドには、AGEsの生成を促進してしまうという作用があるのです」(八木さん)

 つまり、お酒をたくさん飲んで体内にアセトアルデヒドができる人ほど、糖化が進み、AGEsが生成されるということです。実際、八木さんは、同志社大学の糖化ストレス研究センターの研究から、実際に飲む頻度が高い人ほどAGEsが体内に多く蓄積していることが確認されたと話します。

 「私たちは、皮膚のAGEsの蓄積と生活習慣の関係を確認するため、日本人244人の生活調査とAGEsの測定を行い、結果を解析しました。生活習慣の中で相関関係が認められたのが、喫煙経験、飲酒習慣、睡眠時間です。飲酒習慣については、下のグラフのように、飲酒頻度が週4日以上のグループは、週3日以下のグループに比べてAGEsの蓄積量が高くなりました。ただ、現時点では飲酒量との関係は明確になっていません」(八木さん)

AGEsの蓄積と飲酒習慣の関係
日本人244人(20~59歳)の生活調査(飲酒習慣など)と右上腕内側部における皮膚中蛍光性AGEsの測定を行い、結果を解析した。その結果、週に4日以上飲酒するグループは3日以下のグループに比べてAGEsの蓄積量が多かった。グラフ内の「(16)」などの数字は該当する人数を示す。(Anti-Aging Medicine. 2012;9(6):165-173.)
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 中でも最も注意しなくてはならないのが「酒を飲んで顔が赤くなる人」、つまりアセトアルデヒドを分解するALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)の活性が低い人だと八木さんは話します。

この記事は、「老化の主犯!? 怖い「糖化」はお酒を飲むと加速する?」(執筆:葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト)を基に作成しました。
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