正解は、(2)3割です。
「風が吹いても痛い」ともいわれる「痛風」は、誰もが避けたい病気の代表格でしょう。その原因が尿酸であることは広く知られていますが、尿酸値が高くても何の自覚症状がないうえに、全員が痛風になるわけではないため、放置している人が多いのも現状です。
そもそも尿酸とは、プリン環という2環構造に3個の酸素が結合した窒素化合物で、その多くが尿中に排出されるため尿酸と呼ばれます。

尿酸が「プリン体」と呼ぶ物質からできることはよく知られています。プリン体はプリン環を持つ物質の総称で、細胞の中に必ず含まれています。細胞の中には細胞核があり、核酸(DNA、RNA)が含まれていますが、これらはプリン環を有するプリン体です。
尿酸・痛風のエキスパートで、『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』の改訂委員長を務めた鳥取大学大学院 医学系研究科再生医療学分野教授の久留一郎さんは、「多くの哺乳類は尿酸を分解できるため、尿酸がほとんどありません。しかし、ヒトを含む霊長類は尿酸を分解できないため、尿酸がプリン体の最終代謝産物になります」と話します。
尿酸値が7.0mg/dLを超えると痛風リスクが着実に高まる
この尿酸の血中濃度が「尿酸値」です。血液中の尿酸値が7.0mg/dLを超えると「高尿酸血症」という生活習慣病とされます。

尿酸値が7.0mg/dLを超えると、尿酸が結晶化して関節に沈着するようになります。「尿酸の生理的溶解度は6.4mg/dLですが、尿酸結合性たんぱくが存在するため、7.0mg/dLまでは過飽和状態にならずに血液中に存在可能です。しかし、7.0mg/dLを超えると、血液中に溶けきれなくなり、結晶化して関節に沈着するようになります」(久留さん)
この結晶が何かのはずみではがれると炎症が起きて、強烈な痛みを感じます。これが「痛風発作」と呼ばれるものです。痛風は、体温の低いひざから下、足の指やかかとなどに起こることが多く、個人による症状の違いがあるとはいえ、2日や3日は激痛のあまり歩くこともままならなくなることもあります。
尿酸値は高くなればなるほど、着実に痛風のリスクは高まっていく。「尿酸値が7.0mg/dLを超え、8.0mg/dL、9.0mg/dLと上がっていくと、着実に痛風のリスクが高まります」(久留さん)。
