いくつかのにおいが混ざると不快なものになる
3つ目は、30~40代の男性に多い“ミドル脂臭”です。
通常、筋肉は酸素を使ってエネルギーを作りますが、全力疾走など激しい運動をしているときや、疲れがたまっているとき、血行が悪いときは、酸素を使わずにエネルギーを作り、その副産物として乳酸ができます。血液中に乳酸が多くなると、汗に混じって出てくるようになるのです。この乳酸を皮膚の上にいる細菌が分解してできるのが「ジアセチル」。これがミドル脂臭の原因物質で、「古くなった油のにおい」などと形容されます。五味さんによると、このにおいも肥満で疲れやすい体質だと強くなりやすいそうです
4つ目は、糖尿病の人に独特の甘酸っぱい体臭で、これはケトン体のにおいです。「インスリンの働きが悪くなることで血液中に遊離脂肪酸が増え、これがケトン体になる。腐ったバナナのようなにおいです」と五味さん。
実は、最初に説明した加齢臭の原因となるノネナールは、単独ではそれほど臭くないのだそうです。ところが、「アンモニア、ジアセチル、ケトン体など、他のにおいと混じることで不快なにおいになるんです」(五味さん)。
におい対策はメタボ対策
では、どうすれば臭いを抑えられるのでしょうか。
臭い汗を出さないためには、まず疲れやストレスをためないようにしましょう。「ノネナールは体内の活性酸素が多い人ほどできやすい」(五味さん)ので、暴飲暴食を控え、ビタミンC、E、カテキン、イソフラボンなどの抗酸化成分を積極的にとることを心がけるといいようです。さらに、汗腺機能を高めてサラサラした清潔な汗をかくためには、日頃から運動で積極的に“いい汗”をかくことが大切になります。結局のところ、体臭対策は食事、運動、睡眠になるようです。
「におい対策はメタボ対策。健康であれば、そうそう不快なにおいなど出さないはずなんですよ」と五味さん。暑い季節は体臭が気になります。自分のにおいが気になる方は、本気でメタボ対策に取り組んでみることをお勧めします。