正解は、(2)遅筋は、いくら使ってもほとんど太くならないです。
速筋は瞬発的に大きな力を出す筋肉、遅筋は持久力を発揮する筋肉
筋肉の細胞(筋線維)は、速筋と遅筋の2種類に大きく分けられ、モザイク状に構成されています。速筋は瞬発的に大きな力を出す筋肉で、筋トレや短距離走などの無酸素運動をするときに使われます。一方、遅筋は大きな力は出せませんが、持久力を発揮する筋肉で、ウォーキングやマラソンなどの有酸素運動をするときに使われます。
筑波大学大学院スポーツ医学専攻教授の久野譜也氏は、筋肉を人体における「工場」に例えて、両者の違いをこう解説します。「筋トレをすると、負荷をかけた部分の筋肉が太くなっていきますが、これはなぜだと思いますか? それは、速筋は、使われると太くなり、使われないと細くなる性質があるからです。速筋が増えて太くなるということは、エネルギーを生み出す工場の数が増え、体に占める工場の面積が拡大することを意味します。すると、生み出されるエネルギーの量も増えていきます。一方、遅筋は、いくら使ってもほとんど太くなりません。その代わりに、エネルギーを生み出す工場の生産効率を高めることができます」。
生産効率を高めるというのは、具体的にどういうことなのでしょうか。「筋線維内にある工場の名前はミトコンドリア。その工場を動かすためのエネルギー(燃料)はATP(アデノシン三リン酸)といいます。ATPは車でいえばガソリンのようなものですが、車の場合はガソリンがなくなればスタンドに行って補給する必要があるのに対し、人間の筋線維内にあるミトコンドリアは、ATPを使って筋肉などを動かすと同時に、ATPを生産する仕組みも持っています。その材料となるのが、糖と脂肪です。有酸素運動では主に、体内の脂肪がATP生産の材料として使われます。『有酸素運動をすると脂肪が燃えてやせる』といわれるのはこのためです」(久野氏)。
脂肪を燃焼してATPを生産するには、酸素が必要となります。この酸素を取り込む役割を果たしているのが、毛細血管です。「運動習慣のあまりない人は、ミトコンドリア1つに対して、2~3の毛細血管があるのですが、持久的トレーニング(有酸素運動)を行っていくと、毛細血管の数が増えることが分かっています。毛細血管が増えれば、それだけ血流が増し、酸素の供給量も増えます。したがって、より効率的にエネルギーを生み出せるようになります」(久野氏)。