前立腺がんはステージⅢでも5年生存率は100%
前立腺がんは、「5年生存率(相対生存率)が高い」傾向が見られます。
5年生存率は文字通り、発見から5年後の生存率を示す数字で、100%に近いほど5年後に生存している比率が高くなります。2010~2011年におけるデータでは、前立腺がんは98.8%となっています(がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計データ)。4割程度の肺がんや肝臓がん、1割を切る膵臓がんと比べるとかなり高いことが分かります。
5年生存率を、がんの進行度合い(ステージⅠ~Ⅳ)ごとに見ていくと、前立腺がんはステージⅠからⅢまでの5年生存率が100%となっています。

前立腺がんの罹患率が急増しているワケ
前立腺がんの罹患率は1970年代から一貫して増加傾向にありますが、2000年代前半に急増しています。この急増には「PSA検査の普及」が関係していると考えられています。
PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺から精液の中に分泌されるたんぱく質の一種で、血液を採取してPSAを調べるのが「PSA」検査です。前立腺がんになると血液中から検出されるため、腫瘍マーカーとして使われています。人間ドックの血液検査のオプションとして追加できるほか、自治体によっては無料で受けられるところもあります。
「前立腺がんは『がんに罹った状態で生涯を終えることの多いがん』なのですが、PSA検査の普及によって、前立腺がんが発見される機会が増えているのです。近年ではPSA検査によって『発見しすぎること』の是非が議論されるようになっています」(津金さん)
なお、PSA値は前立腺肥大症でもある程度高くなります。このため、PSAが基準値以上でも、必ずしも前立腺がんがあるとは限りません。