正解は、(2)アルブミンです。
シニアの健康の指標になる数値とは?

老化を遅らせる食生活指導の第一人者である元・人間総合科学大学教授の熊谷修さんは、老化はたんぱく質の減少と密接に関係しており、老化を進めるのも遅らせるのも、たんぱく質がカギを握っていると説明します。
実は、高齢者に多いとされる病気の数々も、たんぱく質の減少が原因になっていることが多いそうです。「例えば、背骨を構成する椎骨を見ると、その間にサンドイッチ状にはさまっている軟骨(椎間板)に、多くのたんぱく質が含まれていることが分かります。この軟骨組織からたんぱく質が抜けていくことにより、脊椎の圧迫骨折が起きやすくなります。背骨には神経の束が入っていますから、そうした神経が刺激されて痛みも発生します」(熊谷さん)
「さらにたんぱく質が抜けると、軟骨だけでなく骨の部分からもたんぱく質が抜けて、骨が固くデコボコ・ゴツゴツしてくる状態になります。骨の弾力性がなくなって変形してくるために、これが強い痛みの原因となります。骨が変形することで、神経の通り道である『脊柱管』が狭くなると、いわゆる『脊柱管狭窄症』になるわけです」(熊谷さん)
では、老化のカギを握るたんぱく質が、血液中にどの程度の量があればいいのでしょうか、そして、不足して老化が進みやすいレベルはどのあたりなのでしょうか。
熊谷さんは、その最良の指標となるのが「アルブミン」の値だと話します。アルブミンは血液中を流れるたんぱく質の約60%を占めるもので、通常は加齢に伴って少しずつ低下していきます。
アルブミンは、コレステロール値や肝機能の値などと同様に、血液検査で簡単に調べることができます。ただし、会社で行われる健康診断や、メタボ対策の特定健診では測定項目に含まれていません。人間ドックでは必ず測定するので、人間ドックを受診するか、個別にかかりつけ医師に相談して測定してもらう必要があります。
「アルブミンは、病気を早期発見するための検査ではないために軽視されがちですが、シニアにとってはとても重要な検査項目です。40歳を過ぎたら、かかりつけ医に相談するか人間ドック受診の際など、年に一度は測定するとよいでしょう。アルブミンの数値は、『体の中で筋肉と骨格の占める割合』と正比例することも分かっています」(熊谷さん)