正解は、(3)大豆 です。
大豆は乳がんのリスクを下げる「可能性あり」
愛知県がんセンターなどが2021年に公表した、日本人女性約16万人を対象にした大規模研究の解析結果では、閉経前の女性は飲酒頻度や飲酒量が増えるほど乳がんの罹患リスクが上がることが明らかになりました(*1)。
愛知県がんセンターのがん予防研究分野分野長の松尾恵太郎さんは、「私もお酒が好きな人の気持ちが分かるので、『お酒をやめなさい』とは言いません。閉経前の女性の場合、まったくお酒を飲まない人に比べ、週5日以上飲む人は乳がんの罹患リスクが1.37倍に上がり、飲酒量については1日に23g(純アルコール換算)以上飲む人のリスクが1.74倍になる、という結果になりました。これを踏まえ、『お酒は乳がんのリスクファクターになる』ということを意識して飲むことが大切です」と話します。

乳がんのリスクになるということを意識し、酒量や飲む頻度をコントロールすることに加え、お酒と一緒に食べるおつまみについても注意しましょう。実は、「乳がんのリスクを下げる」可能性がある食べ物があるそうです。
「それは大豆です。国立がん研究センターの『がんのリスク・予防要因 評価一覧』にもあるように、大豆は現在、食品の中で唯一『(リスクを下げる)可能性あり』という評価が出ています」(松尾さん)
大豆といえば枝豆、納豆、豆腐、厚揚げ、大豆もやしなどのおつまみが考えられます。そして大豆には、主な女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用を持つポリフェノールの一種「イソフラボン」が含まれています。
「エストロゲンと似た作用があるイソフラボンは、その化学構造もまたエストロゲンとよく似ています。イソフラボンは体内に存在するホルモンの受け皿である『女性ホルモンレセプター』に結合することで、エストロゲンがそれに結合するのを阻止します。エストロゲンは乳がんのリスクを上げますが、イソフラボンによってエストロゲンの働きが抑えられると、乳がんの発生や進行を遅らせる可能性があると考えられているのです。イソフラボンを含んだ食品は、特に女性ホルモンの分泌が乱高下する閉経前の女性に積極的にとってほしいですね」(松尾さん)