正解は、(5)やせている人 です(太っている人の方がなりやすい)。
足底筋膜炎は、運動不足でも運動しすぎでもなりやすい
朝起きて最初の一歩を踏み出したとき、あるいは運動したとき、足の裏に激痛が走る「足底筋膜炎(足底腱膜炎)」は、足のかかとから指の付け根にかけて広がる筋肉を覆う足底筋膜(足底腱膜)が炎症・断裂を起こす病気です。
足底筋膜炎の原因の1つが、体の重心が本来の位置からずれ、背骨の自然なS字カーブが崩れた「悪い姿勢」です。パソコンやスマートフォンに向かう時間が長くなり、前かがみ姿勢が常態化すると、腰や肩だけでなく、足の裏にまで影響が及んでしまいます。
「S字カーブが保たれていると、足の『親指・小指・かかと』の3点が体を支え、足の裏の重心は正しい位置を保つことができます。土踏まずのアーチ構造がクッションとなり、体全体の荷重が吸収・分散されるのです。しかし、前かがみの姿勢では重心がつま先側にずれ、足の裏の接地面積が広がって扁平足になります。アーチ構造がつぶれて足底筋膜にかかる負担が増すので、痛みが出てきます」。清水整形外科クリニック院長の清水伸一氏はそう話します。
運動不足も足底筋膜炎の原因になります。運動不足の人は足をあまり使っていないため、急に運動するとアーチ構造が崩れて扁平足となり、衝撃がダイレクトにかかって足底筋膜を痛めてしまうのです。一方で、運動のしすぎから発症することもあります。特に多いのが、サッカーなど急に切り返す動作を伴うスポーツをする選手やマラソン選手です。こうしたスポーツでは足底筋膜に過度な負担がかかり、炎症を起こしやすくなります。
このほか、足場の悪い場所で作業する建設業の人や、立ち仕事の多い接客業の人も足底筋膜炎を起こしやすいことが知られています。足の形に合わない、先がとがった革靴やパンプスを履く人や、体重オーバーで足に負担がかかる肥満傾向の人も要注意です。
土踏まずのアーチ構造が崩れると、足の裏の筋膜はわずかな衝撃でも炎症・断裂を起こしやすくなります。整形外科では、湿布やインソール(中敷き)、体外衝撃波治療(*1)などによって治療を行いますが、治癒を早め、再発を防ぐには、悪い姿勢を治してセルフケアに励むことが欠かせません。
清水氏は、自宅でできるセルフケアとして、片膝を立てて床に座り、足の指をつかんで手前に(すね側に)ゆっくり引っぱる「足指引っぱり」や、足の指先からかかとまでを両手の親指でほぐす「足裏ほぐし」、床に置いたゴルフボールを足裏に軽く押し込むように転がす「コロコロ運動」など、さまざまな方法を患者に指導しています。