正解は、(3)それだけでは判断できないです。
テロメアが短くなると細胞は分裂しなくなる
「テロメア」という言葉をご存じですか? テロメアは、細胞の染色体の末端にある特殊な構造物で、その長さを見ると人の寿命が分かるなどと言われることがあります。
そもそも、テロメアの本来の役割は、染色体を保護し、染色体同士がくっついたりするのを防ぐことにあります。細胞が分裂するたびにテロメアは短くなっていき、ある程度まで短くなると細胞はもう分裂できなくなります。そのため、「老化の回数券」などと呼ばれることがあるわけです。実際、赤ん坊のテロメアは長く、老人のテロメアは短いといわれます。
日本基礎老化学会理事も務める京都大学医学部附属病院(京都市左京区)地域ネットワーク医療部准教授の近藤祥司さんは、「そもそも染色体とは、ゲノムDNAにヒストンなどのたんぱく質がくっついて小さく折りたたまれたもの。DNAには4種類の塩基に遺伝情報が書き込まれています」と説明します。
4種類の塩基とは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)。DNAの上にはこの4種類の塩基があり、その並び方によって、すべての遺伝情報が伝えられます。
哺乳類の場合、DNAの末端部分は「TTAGGG」という6個の塩基のセットがいくつも続く形になっています。この6塩基のリピート部分がテロメアです。「ここには遺伝情報が入っていない。つまり、なくなっても大丈夫なようにできているんです」(近藤さん)。
細胞が分裂するときDNAがコピーされますが、完全にコピーすることはできず、末端の部分だけ欠けてしまいます。この欠ける部分がテロメアです。染色体として見ると、細胞分裂する度に末端部分のテロメアが欠けて、短くなっていくことになります。
「テロメアが一定以上に短くなると、染色体同士がくっついたり、染色体がちぎれたりすることで、異常な染色体ができてしまう。そのため、あるレベルまでテロメアが短くなると細胞は分裂しなくなります」(近藤さん)
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