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Goodayクイズ

糖尿病の“予備群”でも心筋梗塞などの死亡リスクが上がる?

クイズで学ぶ「血糖値のリスク」

 日経Gooday編集部

みなさん、「カラダにいいこと、毎日プラス」していますか? このクイズでは今知っておきたい健康や医療のネタをQ&A形式でおさらいします。ぜひ、今日からのセルフケアにお役立てください。では、さっそくクイズを始めましょう。

「血糖値のリスク」に関する問題

【問題】糖尿病の一歩手前の状態を「糖尿病予備群」と言いますが、この「予備群」の段階からでも動脈硬化による心臓病(心筋梗塞など)のリスクが高まるというのはウソ、ホント?

  • (1)ホント
  • (2)ウソ
  • (3)どちらともいえない

 正解は、(1)ホントです。

健診結果がどうなったら糖尿病? どこからが予備群?

 平成24年(2012年)の国民健康・栄養調査によると、「糖尿病が強く疑われる者(糖尿病)」は950万人、「糖尿病の可能性を否定できない者(糖尿病予備群)」は1100万人に上ると推定されています。

 健康診断の結果から「糖尿病の予備群ですね」と告げられても、「今は忙しいし、もう少し様子を見ても大丈夫かな…」と放置してしまう人が多いかもしれません。ところが、近年の研究では、糖尿病と診断される一歩手前の“糖尿病予備群”の状態でも、突然死につながる危険性が高まることが分かってきています。

 「空腹時血糖値」と「2時間後血糖値」に着目した場合、糖尿病と糖尿病予備群の診断基準は次のようになります。

空腹時血糖値と2時間後血糖値による、糖尿病および糖尿病予備群の判定基準
糖尿病治療ガイド2016-2017を基に編集部で作成
[画像のクリックで拡大表示]

 「空腹時血糖値」とは、文字通り空腹時に測る血糖値で、会社などで毎年行われている健康診断で測定されます。また「2時間後血糖値」とは、空腹時血糖値を測った後に、75g相当のブドウ糖が入った試験用飲料を一気に飲んでから2時間後の血糖値を調べたもので、これは人間ドックのオプションに多い検査です。

 空腹時血糖値が126mg/dL以上もしくは2時間後血糖値が200mg/dL以上のいずれかに当てはまると「糖尿病」と診断され、空腹時血糖値 110mg/dL未満かつ2時間後血糖値が140mg/dL未満の両方を満たすと「正常」と診断されます。そして、正常でも糖尿病でもないが、糖尿病の一歩手前の状態を糖尿病予備群と言います

 糖尿病専門医で船橋市立医療センター代謝内科部長の岩岡秀明さんによると、「糖尿病予備群は、血糖値が高めであるものの、まだ本当の糖尿病の域には達していない。ここできちんと対策を始めるかどうかが悪化を防ぐカギになります」という。

糖尿病予備群も「心筋梗塞など死亡リスク」が2.2倍!

 「糖尿病により血糖値が上がると、全身の血管が傷つきさまざまな合併症を引き起こします。目や神経、腎臓への合併症は、細い血管がダメージを受けることにより発症します。これらの合併症は糖尿病を発病してからゆっくり発病します。むしろ怖いのは、それよりももっと早い『予備群』の段階から起こる、動脈硬化の進行による心臓病などのリスクです」(岩岡さん)

 詳細なメカニズムはまだ解明されていませんが、高血糖によって活性酸素が産生されると全身の血管内で慢性の炎症が起こり、血管内皮の壁が固くなったり血液が流れる部分が狭くなる「動脈硬化」が起こり、心筋梗塞につながると考えられています。この動脈硬化による心臓病のリスクは、糖尿病が発病する前の予備群の段階から高まっているのです

 以下のグラフは、山形県舟形町の40歳以上の住民2651人を対象に約7年間追跡した疫学調査で、検診結果の「正常」「予備群(境界型)」「糖尿病」の群から、どのくらいの人が心筋梗塞などの心血管疾患によって亡くなっているかを見たものです。

食後高血糖の「糖尿病予備群」の人は死亡率が高まる
山形県舟形町の住民を対象に、検診結果で「正常」「予備群」「糖尿病」の人が、どのくらい心筋梗塞などの心血管疾患によって亡くなったかを調査した結果。縦軸は累積生存率で、下に行くほど死亡率が高いことを意味する(出典:Diabetes Care. 1999;22:920-4.)
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 グラフの左側は2時間後血糖値が140~200mg/dLである食後に高血糖になるタイプの「予備群」の人と、「正常」な人、「糖尿病」の人を比較したもの。食後高血糖の予備群は、正常な人に比べて死亡率が約2.2倍になったと報告しています。

 一方、空腹時血糖値で比較した右側のグラフを見ると「正常」な人と「予備群(空腹時血糖値が100~126mg/dL)」の人とでは、予備群のほうが若干死亡率は高くなりましたが、顕著な差は見られませんでした。

 食事で糖質を摂取した後の、正常範囲を上回る急激な血糖値上昇は血管に悪影響を与えます。「1日3回、毎回の食事のたびに血糖値が急激に上昇し、正常値を上回った高血糖の状態になれば、その分、全身の血管が繰り返し高血糖にさらされるということです。当然、心臓の血管に障害が起こるリスクも高まります」と岩岡さんは説明します。

 糖尿病は進行するまで目立った自覚症状は出ませんが、予備群といわれた段階でも生活を改善したり、病院に行ったりして対策をとらなければなりません。また、糖尿病には体質の影響も大きいため、家族や親族に糖尿病患者がいる場合はさらに注意する必要があると言えるでしょう。

この記事は、「糖尿病の“予備群”でも「心筋梗塞などの死亡リスクが2倍」の衝撃」(執筆:柳本 操=ライター)を基に作成しました。
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