正解は、(3)血液中の酸素濃度を上げるため です。

あくびの動作は意識的にもできますが、動きをマネしても、本物のあくびのあの心地よい感じは出てきません。そもそもあくびはなぜでるのでしょうか。
「血液中の酸素が足りなくなるから」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれませんが、これは今では否定されているといいます。「室内の酸素や二酸化炭素の濃度を変えても、あくびの発生頻度に影響はなかったという実験結果が報告され、血中酸素欠乏説は否定されました。近年、注目されているのは、あくびによって脳の温度を調整し、覚醒水準を上げようとしているのではないかという説です」(いわき明星大学人文学部心理学科准教授の大原貴弘さん)。
確かに、あくびは眠いときや退屈なときなど、覚醒水準が低下したときに出てきやすいもの。つまり、あくびは眠気を促しているのではなく、むしろ眠気を妨ぎ、体を覚醒させようとしているものと考えられます。しかし、口を大きく開けて息を吸い込むだけで、覚醒水準が上がるのでしょうか。
「息を吸うことより、大きく口を開けることに意味があるようです。顎や気道を大きく動かすことで血流の促進などが生じ、脳が覚醒されると考えられています」(大原さん)
あくびの生理に詳しい脳生理学者、東邦大学名誉教授の有田秀穂さんも、あくびが出やすいのは、覚醒と睡眠の境界から覚醒に向かうときだと話します。例えば朝のあくびは、体を睡眠から覚醒へ誘導する。夜のあくびは、眠いときに目を覚まそうと頑張っている姿といえます。
「夜の運転中は、よくあくびが出るでしょう? あれは、寝てはいけないと思っているから、出るのです。だから、退屈な講義や会議であくびが出るのは、起きようとする気持ちの表れ。ほめるべき行動です」(有田さん)
一方、ストレスなどで過度に緊張したときにも、あくびが出やすい。これは、緊張をゆるめることで覚醒を促す行動と考えられる。「昔の将棋の名人で、大事な一手を指す前に必ずあくびをする人がいました。あくびで頭がさえることを、体が知っていたのでしょうね」(有田さん)。
さらに詳しい解説はこちら。
◆おとなのカラダゼミナール
あくびはなぜうつるのか?
◆スゴイカラダ
あくびは何のためにするの?
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