肝臓がんは主にウイルス感染によって発生する
正解は、(3)ウイルス感染です。
日本におけるここ半世紀くらいの、がんの年齢調整死亡率(年齢構成が昔も今も同じと仮定した死亡率)の年次推移を見ると、胃がん、肝臓がん、乳がんなど、それぞれの部位ごとに、減ったり、増えたりするもの、あるいは増加傾向から減少傾向に転じたものなどがあることがわかります。
まず気付くのは、胃がんが戦後大きく減少していることでしょう。一方の肝臓がんは、戦後ゆるやかに減少した後に、70年代半ばくらいから増加に転じ、さらに1990年代半ばから再び減少しています。
胃がんの原因となるのはピロリ菌という細菌であることは広く知られていますが、肝臓がんは主にウイルス感染によって発生します。
がん予防のプロフェッショナルで、がん予防の著書も多く手がける、国立がん研究センター 社会と健康研究センター センター長の津金昌一郎さんは、「8割以上の方が、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスといった慢性ウイルス性感染をもとに肝臓がんに罹患します」と話します。
「肝臓がんで特徴的なのは、『肝炎ウイルス感染者でなければ、肝臓がんにはまずならない』ということです。B型・C型肝炎ウイルスに感染している人は、そうでない人に比べて、肝臓がんになるリスクが十数倍から数十倍と報告されています」(津金さん)
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- ウイルス感染の寄与が約9割と圧倒的に高い