「このほか、NOには、血管内の善玉コレステロール(LDLコレステロール)の沈着や酸化を防ぎ、動脈硬化を防ぐ作用もあります」(南先生)
適度な運動は、善玉のHDLコレステロールを増やす効果もあります。HDLコレステロールは、悪玉のLDLコレステロールが血管内でたまらないように回収する役割を持っています。善玉のHDLコレステロールが増えれば、悪玉のLDLコレステロールが減るので、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることにもつながります。さらに、運動には中性脂肪を減らす作用もあります。肥満やストレスを解消し、血圧を下げて血管を広く、柔らかくしてくれるという、まさに一石二鳥以上のメリットが期待できるわけです。
血管若返りに効くのは「有酸素運動」
では、具体的にどんな運動を実践すればいいのでしょうか。運動といっても、ウォーキングから、水泳、自転車、筋トレ、そして各種スポーツまでさまざまあります。どんな運動が血管にいいのでしょうか?

運動には、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの「有酸素運動」と、短距離走や筋トレのような「無酸素運動」があることは、多くの人がご存じでしょう。有酸素運動は、文字通り、酸素を必要とする運動で、比較的軽めの運動を持続的に行うことで体内の脂肪を燃焼させるものです。それに対し、無酸素運動は、短時間で強い筋力を使うことで、筋量を増やし基礎代謝を高める効果があります。
南先生は、「心臓に負担がかからないように体を動かすこと」が肝要だと話します。「血管を強くするためには、心臓への負担が大きい無酸素運動より、適度に体を動かす有酸素運動が適しています。“適度な有酸素運動”が血管若返りのポイントです」(南先生)。