正解は、(3)NO(一酸化窒素)です。
健康寿命を延ばすためには、食事に注意するだけでなく、日々の運動も大切ということは、多くの方が認識されているでしょう。
運動は、血管や心臓などの循環器系の若さを保つために極めて重要です。ドイツのボッフム大学永代教授で、冠心会大崎病院東京ハートセンター顧問の南和友先生は、「血流をつかさどる心臓が規則正しく動くようにケアすることで、血管力も高まります。その柱となるのが『運動』です」と話します。
「運動をすれば、脈拍量が増え、血管も筋肉に血液を送ろうとするので心臓も血管も鍛えられます。酸素の豊富な血液(動脈血)が手足の筋肉に送られます。そして酸素の消費された血液(静脈血)はミルキング作用で末梢から心臓へと送り返されます」(南先生)
血管を柔らかくするカギ「一酸化窒素(NO)」
運動には、血管を柔らかくする効果も期待できます。そのカギを握る存在が「一酸化窒素(NO)」です。NOは、血管の内皮細胞から放出される物質で、血管を拡張してしなやかにして、血圧を安定させてくれます。NOは、血管を若く保ち、動脈硬化を防ぐ作用があるのです。
NOをたくさん放出できれば、血圧が下がり、血管も柔らかくなる――。この効果を狙うなら、適度な運動がお勧めです。NOは、運動によって血流が増えると多く放出されるからです。
「運動をすると、血液循環が良くなり、上の血圧(収縮期)が上がり、下の血圧(拡張期)が下がります。このように上の血圧と下の血圧の差(脈圧)が大きくなると、血液が波打って運ばれるようになります(拍動流)。その波打つ動きによって、血管内膜にある内皮細胞が刺激されてNOが増加するのです」(南先生)
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- 血管若返りに効くのは「有酸素運動」