答えは(2)握力です。
大病の経験がない人ほど、巣ごもり老化が進む可能性大
コロナ禍で、外出制限が一時期続いたのに加え、今もテレワークなどの巣ごもり生活が続き、多くの人にとって、運動不足解消が大きな課題となっています。
長期間に及ぶ運動不足は足腰や心肺機能を衰えさせます。いったん体の機能が衰えると、動くのがおっくうになり、ますます活動量が減っていきます。活動しなければ食欲も体力も落ち、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)やフレイル(加齢により心身の働きが弱くなった状態)などのリスクに直結。将来の寝たきりリスクも高まり、健康寿命の短縮につながりかねません。いわゆる「巣ごもり老化」です。運動不足は、高血圧や脂質異常症、糖尿病のような生活習慣病や、動脈硬化など、さまざまな病気の誘因にもなります。
だからこそ運動不足の解消は大切なわけですが、冬の寒さや夏の猛暑の中、わざわざ外に出てウォーキングやジョギングをするのは面倒だと思う人も少なくないでしょう。
そんな人のために、順天堂大学医学部循環器内科学講座准教授の横山美帆さんは、外出しなくても思い立ったときに自宅ですぐにできるトレーニングをお勧めしています。
横山さんは心筋梗塞をはじめとする、心臓・血管の病気を持つ患者への運動療法に詳しい循環器内科医。横山さんが接する患者は、生命を左右する病気を抱えているだけに、真面目に運動を続ける人が多いそうです。生死を分ける瞬間に一度でも直面した人は、健康のありがたみを痛感しています。薬が途切れないように注意し、適切な運動・食事を心がけているわけです。
しかし、健康な人や、生活習慣病などの持病があっても症状がない人はその限りではありません。2年におよぶテレワーク生活で、脂質異常症や高血圧が悪化して動脈硬化が少し進んだとしても、少々のことでは自覚症状が出ません。そのためコロナ禍が始まってからは、新型コロナの感染を避けることを優先し、通院をやめて勝手に薬を中断。運動もしないまま過ごす人が少なくないといいます。同様に、健康診断を先延ばしにする人もいるようです。
「このような状況では、今はまだ大事に至っていないだけで、将来起こるであろう心筋梗塞などの心血管病の発症が着々と早まっているかもしれません」(横山さん)
鍛えるべきは、「足の筋力・バランス力・柔軟力・握力」の4つの力
では、運動不足やそれに伴う健康リスクの増大を解消するにはどんなトレーニングをすればいいのでしょうか。実はこれにはコツがあり、やみくもに体を動かせばいいというわけではありません。巣ごもり老化を進めないために大切なのは、【足の筋力・バランス力・柔軟力・握力】の4つの力を少しずつ鍛えることだと横山さんは言います。
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