正解(間違っているもの)は、(4)体を動かすと痛みがやわらぐ です。
頭の片側の脈打つような痛みや吐き気が特徴

ズキズキしたり、ギューッと締めつけられるように痛んだり…。頭にさまざまな痛みが現れる「頭痛」は、日本人の4人に1人が悩むと言われるほど身近な症状です。慢性的に痛みが続く慢性頭痛では、肩こりなどからくる緊張型頭痛や、寝込むほどの痛みが定期的に出る片頭痛の頻度が高いことが知られています。
「緊張型頭痛」は、肩や首の筋肉が緊張して血行が悪くなる「コリ」や、精神的なストレスが原因で起こります。頭を締め上げるような痛みが特徴で、普段、パソコンに向かって前傾姿勢を続けることが多く、肩がこっていて頭痛も出る、という場合は、緊張型頭痛であることが多いとされます。肩こり頭痛、ストレス頭痛とも呼ばれるこの頭痛を患う人は、日本に約2200万人いると推計されています。
緊張型頭痛は頭や首の筋肉の血管が収縮することによって起こりますが、それとは反対に、脳の血管が広がる(拡張する)ことで起こるのが「片頭痛」です。日本の片頭痛患者は約840万人と推計され、女性に多く見られます。その特徴は、ズキン!ズキン!と脈打つような、頭の片側の強い痛み。吐き気・嘔吐を伴って寝込むこともあり、4時間から、長ければ72時間も続きますが、落ち着くと何事もなかったように治まります。片頭痛が慢性化する「慢性片頭痛」では、そんな頭痛が1カ月の半分以上も続きます。
片頭痛は、光や音のような刺激や、天候など環境の変化に反応して始まることが多いという特徴もあります。「この体質は遺伝によって受け継がれることが多いのですが、どのような刺激が契機になるかは人によって異なります」と、埼玉精神神経センター内・埼玉国際頭痛センター長の坂井文彦さんは話します。
片頭痛を見分けるポイントは「おじぎ」や「運動」
坂井さんによると、片頭痛と緊張型頭痛は、ある程度は素人でも区別することが可能です。その方法とは、痛みが出ているときに「おじぎ」をするように頭を下げること。
「おじぎをすると頭に血がのぼり、脳に軽いうっ血が起こります。緊張型頭痛では、頭の血管が収縮して血行が悪くなっているので、頭を下げても痛みの変化はほとんどありません。一方、片頭痛は脳の血管が広がって起こるので、痛みの最中におじぎをするとさらに頭に血がのぼって痛みが悪化します。トイレでいきんだり、咳やくしゃみをしたときにも、血管に圧がかかって痛みが強くなります」(坂井さん)
おじぎのほかにも、体を動かして痛みが悪化すれば片頭痛、楽になれば緊張型頭痛、というふうに区別がつくこともあります。「動いたときに痛みが増すのは片頭痛の特徴です。体の動きに対して非常に敏感になっているので、片頭痛が起きているときは、運動やマッサージを避けてください」(坂井さん)。
ただし、中には片頭痛と緊張型頭痛の両タイプを併せ持つケースもあり、素人には判断がつかない場合もあります。片頭痛と緊張型頭痛では治療の内容もセルフケアの方法も異なるので、正確な診断のためには医療機関を受診しましょう。
坂井さんは、頭痛が起きたときの状態について簡単なメモを取る「頭痛ダイアリー」の活用を勧めています。片頭痛や緊張型頭痛は、MRIやCTなどの画像検査を行っても異常がないため、医師が「痛み」という主観的な症状を把握するには、問診に頼るしかありません。その際、症状が一目で分かる記録があれば、診断の助けとなるのです。頭痛ダイアリーのフォーマットは、日本頭痛学会のウェブサイトからダウンロードできます。