サラダチキンや酢との組み合わせで、糖化ストレスが抑えられる
ポイントは、主食を何かと組み合わせることになります。では、具体的に主食と“何を”組み合わせればいいのでしょうか。
「手軽に組み合わせられることができて、血糖値上昇を抑える働きが期待できるもの、それは『たんぱく質』と『酢』です」と八木さん。
八木さんたちは、「サラダチキン」と「酢」(150mLの水に混ぜて摂取)を使ったユニークな検証を行っています。「白米(米飯)のみ」と、「白米+サラダチキン」、「白米+食酢(穀物酢)」の組み合わせで摂取して、血糖値の変化を測定しました。その結果、サラダチキン、および食酢とセットで摂取すると食後の血糖値上昇が抑えられることが確認されました。


八木さんは、魚やチーズなど他のたんぱく源でもOKだと話します。「サラダチキンの他にも、最近人気のサバ缶やチーズ、あるいは豆腐などの、たんぱく質を多く含むおかずを組み合わせれば、同様の効果を期待できます」(八木さん)。さらに「主食をとる前にたんぱく質や酢をとる、というふうに“主食を後回し”にするとさらに効果的です」と話します。
食物繊維が豊富な野菜を主食より先に食べることも、「ベジタブルファースト」として、血糖値上昇を抑えることが知られています。八木さんは「サラダを食べる際のポイントはドレッシングです」と指摘します。
「ドレッシングに含まれる酢、そして油が血糖値を抑えます。私たちの実験では、同じうどんを食べるときでも、素うどんより野菜をたっぷりのせてドレッシングを加えた『サラダうどん』が血糖値上昇を抑えられました」(八木さん)
このほか八木さんは、食事の際にヨーグルトを最初にとる「ヨーグルトファースト」を勧めます。白米を食べる前にプレーンヨーグルトを食べると、食後の血糖値上昇が抑えられるそうです。
「白米(米飯)だけより、ヨーグルトを先に食べ、その後白米を食べたほうが血糖値の上昇が抑えられたことが確認されました。この効果は、ヨーグルトの乳酸が、胃から小腸へと食物が移動する速度を緩やかにすること、そしてヨーグルトのホエイ(乳清)に含まれるペプチドがインスリンの分泌を促進することによるものと考えています」と八木さん。
注意! “朝食抜き”は次の食事での糖化を加速させる
ここまでは、食事の内容について解説してきましたが、八木さんは、「何を食べるかだけでなく、『欠食しない』ことも糖化を抑える習慣として大切」と強調します。
具体的に注意すべきは朝食です。朝食をきちんととることも糖化対策になると八木さんは話します。
「朝食を抜くと、その次の昼食後の血糖値上昇が大きくなります。また、朝食は白ごはんのみよりも、たんぱく質を多く含む食事にしたほうが、昼食後にも血糖値を上昇させにくくなります」(八木さん)
「実験では、朝食を抜くと、食後の血糖値が上昇しやすいだけでなく、いったん上昇した血糖値の下降も急でした。血糖値の変動幅が大きいほど、体が受ける糖化ストレスは大きくなるので、その意味からも欠食は避けるべきです」(八木さん)
ここまで紹介してきた対策のほかにも、効果が期待できる対策はあります。糖化反応を抑える食物を摂取する、体内で生成された糖化最終生成物(AGEs)を分解する働きを持つ成分をとるといった対策です。糖化反応の抑制効果が期待できる食物としては、お茶、ハーブ、スパイスなど、AGEsの分解効果が期待できる食物としては、ヨモギ、レンゲソウ、ザクロ果実、ゆず果皮、ハーブなどがあります。