正解は、(1)食事の最初にヨーグルトを食べると(3)食事の際、野菜や酢をセットでとるです。

老化を進める要因として、近年、「酸化」と並んで大きく取り上げられるようになったのが、「体が焦(こ)げる」などと言われる「糖化」です。
糖化の専門家である同志社大学 生命医科学部 糖化ストレス研究センター チェア・プロフェッサー教授の八木雅之さんは、「近年の研究から、糖化は酸化と並んで、人間の老化を進める主因の1つであることが分かってきました。糖化とは、体内の余分な糖がたんぱく質と結びつき、たんぱく質が劣化する現象です。これが体内の組織の劣化や機能低下をもたらします」と話します。
糖化は、肌などの見た目の老化だけでなく、血管、骨、関節組織、さらには糖尿病の合併症、認知症にも関わることが近年の研究で明らかになっています。気づいたときには全身の組織が糖化でボロボロになっていた――などという事態を避けるためにも、早い段階で対策に着手したいところです。
八木さんは、糖化ストレスの引き金になるのは「高血糖状態」(血糖値が高い状態)、特に注意すべきは食事の後に一時的に血糖値が急上昇する「食後高血糖」(血糖値スパイク)だと話します。
「糖化ストレス対策の基本は、普段の生活習慣、特に『食事で常に抗糖化を意識すること』です。その中でも、糖化にダイレクトに結びつく『食後高血糖』を防ぐことが肝心です。1日3回の食事ごと、場合によっては間食をとるごとに、食後高血糖が起こって糖化が進んでいる可能性があると自覚することが対策の第一歩になります」と八木さんは話します。
実際に、糖をとると、血糖値上昇とほぼ同時に、体内の糖化の指標となる糖化生成物(メチルグリオキサール:糖化反応の中間生成物の1つ)が増えていることが最新研究から明らかになっています(下グラフ)。

最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」
では、食後高血糖を防ぐためには、どんな食生活をすればいいのでしょうか。
血糖値を上げるのは糖質です。だから、ごはん、パンなどに代表される糖質の摂取量を抑える、もしくは、血糖値を上げにくい食品(低GI食品)を選ぶといった選択肢を想像する方も多いでしょう。もちろんこういった対策も重要ですが、八木さんは、これらの前に「主食と何を組み合わせるか」そして「食べ順」の見直しから始めてほしいと話します。

「制限が多くて食事の楽しさが奪われたり、実践が難しかったりしては、長く続きません。ごはんやパンを普段と同量食べるにしても、実は『何と一緒に組み合わせて食べるか』で食後の血糖値の上昇は変わります。無理をして我慢せず、まずは食べ合わせを工夫するところから始めることがポイントです」(八木さん)
八木さんが具体的に例として挙げるのが牛丼です。一般に、ごはんたっぷり、脂肪たっぷりというイメージのある牛丼は、体に良いという印象は薄いでしょう。しかし、「糖化」対策という観点では、白ごはんをそのまま食べるより、牛丼の方がいいと八木さんは話します。「私たちの研究から、ごはん(白米)より牛丼の方が血糖値の上昇が抑えられることが確認されています。牛丼に含まれるたんぱく質と脂質が血糖値上昇を抑制したと考えられます」(八木さん)
最も避けるべきなのは「炭水化物の固まり食い」なのだと八木さんは指摘します。「コンビニでおにぎりを2、3個買ってランチを済ませる、という人は少なくないでしょう。この『炭水化物の固まり食い』が良くないのです」(八木さん)
「おにぎりは農作業をする人、肉体労働をする人など、運動時に速やかなエネルギー補給が必要なときの“携帯食”として食べられてきたものです。食後にすぐに運動するから、血糖値の上昇も抑えられるわけです。“動かない”デスクワークの人がとると、血糖値が急上昇するのは当然です」(八木さん)