口臭を抑えるには“規則正しい3度の食事”から
歯磨きに加え、舌苔の除去も効果的
伊藤和弘=ライター
薄着になり、汗をかく機会も多い夏は、一年で最も「体臭」が気になる季節だ。気になる体臭をどうやって抑えればいいのだろうか。今回は、においのなかで最も嫌われる口臭の対策についてお伝えする。口臭は、食べたものが原因だと思う人が多いかもしれないが、実は口の中、いわゆる「口腔環境」の悪化にあった。
体から出るにおいのなかでも、口臭はとりわけ嫌われている。都市部に住む20~50代の男女約600人を対象とした「オフィスや職場におけるニオイに対する意識調査」(2013年、ブラシナ調べ)によると、「気になる他人のにおい」は汗のにおいや加齢臭を大きく引き離して口臭が堂々の第1位! 実に6割以上の人が「気になる」と答えているから無視できない。
食事をすると口臭が消える
口臭というと、「胃の調子が悪いのでは?」と考える人が多いのではないだろうか。だが、「胃の空気が外に出てくるのはゲップをしたときくらい。原因の9割以上は口の中にある」と東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野の川口陽子教授は断言する。
口の中には500種類以上の細菌がいる。それが口腔内ではがれた粘膜、血液、食べカスなどのたんぱく質を分解し、揮発性の硫黄化合物(硫化水素やメチルメルカプタンなど)を作り出す。これが口臭の原因だ。いくら清潔を心がけても口の中の細菌をゼロにできない以上、誰も口臭をなくすことはできない。要はにおいのレベルの問題だ。
1日のうちで最も口臭が強いのは起床直後だという。「言われてみれば…」と納得する人も多いだろう。これは唾液の分泌と関係があるため。そもそも唾液には殺菌作用や細菌のエサとなる舌苔(ぜったい)を洗い流す働きがあるが、眠っているときは分泌が少なくなり、口の中で細菌が繁殖して、におい物質を作る。食事をすると唾液の分泌が盛んになるとともに、口の中の細菌が食べ物と一緒に飲み込まれ、口臭のレベルが一気に下がる。
口臭があるときに食事をすると、においがかえって強くなりそうな気がするが、実は逆だったのだ。確かにネギやニラを食べるとにおいが出る。しかし、それは一時的なものに過ぎず、また本来のにおい物質である揮発性硫黄化合物のにおいではない。
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- 歯周病の治療も口臭除去に有効