口臭を抑えるには“規則正しい3度の食事”から
歯磨きに加え、舌苔の除去も効果的
伊藤和弘=ライター
舌の掃除が効果的
では口臭を予防、改善するためにはどうしたらいいのだろう? 大切な予防法を以下にまとめた。
(1)1日3食取る
「1日3回、規則正しく食事を取ることが重要。食事の回数を減らすと口臭も強くなる」と川口教授は注意する。特に、加齢とともに唾液の分泌量も減っていくことから、食事では意識的に咀嚼(そしゃく)の回数を増やして分泌を促すといい。
(2)歯磨き
当然ながら、基本は歯磨き。細菌のエサになる食べカスを取り、細菌の固まりである歯垢を落とす効果がある。できれば朝と夜、1日2回は磨いてほしい。また、歯周病は口臭を強くする。「歯周病予防には歯の間を磨くことも大切」と川口教授。歯ブラシで歯ぐきの境目をていねいにブラッシングすることに加えて、歯間ブラシやデンタルフロスも併用するといい。
(3)舌苔(ぜったい)を取る
歯を磨かない人は滅多にいないが、きちんと舌の掃除までしている人は少ないかもしれない。舌苔とは、舌の表面についた白または淡黄色の汚れ。死んだ細菌、はがれた粘膜、食べカスなどでできている。つまり、細菌の食料庫のようなものだ。「実際、舌苔を取るようにすると口臭が改善する人は多い」と川口教授は指摘する。
取るタイミングは最も口の中に細菌が多い起床直後(朝食の前)がよい。鏡の前で舌を出し、白くなっていたら掃除する。歯みがき粉は必要ないし、舌がきれいな日はしなくても構わない。専用の舌ブラシや柔らかい歯ブラシを水に濡らし、舌の奥から手前に軽くこする。舌苔は奥に多いので、思いっきり舌を出すのがコツ。くれぐれも強くこすらないようにしよう。舌の掃除をしてから食事をすると、おいしく感じられるという人も多いようだ。
(4)規則正しい生活
前に触れたように、1日3回決まった時間に食事を取ることは口臭予防に大きな効果がある。また、きちんと睡眠を取ることも大切だ。徹夜など不規則な生活をすると、睡眠不足によるストレスから交感神経が優位になり、唾液の分泌が減ってしまう。その結果として、口臭も強くなるという。
(5)歯科検診を受ける
特に異常を感じていなくても、「年に1~2回は歯科検診を受けるべき」と川口教授。口臭を強くする歯周病や虫歯のチェックもしてもらえるし、正しい歯のみがき方も教えてくれる。また、歯科医院で歯のクリーニング「PMTC(プロフェッショナル メカニカル トゥース クリーニング)」をしてもらうこともより効果的だ。
考えてみれば、男性が「汗くさい」のはまだ「仕事を一生懸命やっている」「男らしい」などプラスのイメージもあるが、「口がくさい」のはどうにもフォローが利かない。愛する家族や職場の仲間たちに嫌われないように気をつけよう。
東京医科歯科大学大学院健康推進歯学分野 教授
