日経グッデイ

この夏、男と女の「体臭」「口臭」を徹底ケア!

肥満やストレスも体臭を強める原因だった!

体臭をなくす第一歩は身近な生活習慣の改善から

 伊藤和弘=ライター

薄着になり、汗をかく機会も多い夏は、一年で最も「体臭」が気になる季節だ。気になる体臭をどうやって抑えればいいのだろうか。実は一口に体臭と言っても、特に肥満が原因となる「加齢臭」や、疲れがたまると出る「疲労臭」、ストレスによる「ミドル脂臭」など、においの原因や対策はさまざまだ。エアコンの効き過ぎも体臭の原因となる。まずは自分のにおいの正体を突き止めよう。

無臭の汗でも3~6時間放置するとにおい出す。(©ayutaka-123rf)

 体臭の原因といえば、自分の汗を思い浮かべる人が大半だろう。しかし、ワキガ(腋臭)など体臭の解決法に詳しい五味クリニック(東京都新宿区)の五味常明院長によると、「汗は本来ほとんど無臭」だという。

 「特に正常に働いている汗腺は、ほぼ水に近い汗を出す。しかし、それを何時間も放っておくと皮膚にいる常在菌が繁殖し、いわゆる“汗くささ”が感じられるようになってくる。したがって、基本的な対策は簡単。におい出す前にシャワーを浴びるか、こまめに汗を拭き取ってしまえばいい」(五味院長)。無臭の汗が臭い出すまでには3~6時間かかるという。

肥満もにおいの原因、「加齢臭」は女性にもある

 一方でワキガに代表されるように、汗そのものがにおう場合もある。最近では、ワキガでなくても汗が臭くなってしまう「加齢臭」や「疲労臭」「ミドル脂臭(ししゅう)」などの体臭も注目されている。

 まず、加齢臭。その原因となるのは、皮脂腺の中の9-ヘキサデセン酸という脂肪酸が酸化されてできる「ノネナール」という成分だ。若者でも生じるが、歳を取るほど発生量が多くなる。

 ノネナールそのものはロウソクや古本を思わせるにおいといわれ、「単体ではそれほど臭くないが、アンモニアやジアセチル、ケトン体など、体内で産生されるほかの成分と混じることで不快なにおいが生じ、汗が臭くなる」と五味院長は説明する。「加齢臭=オヤジのにおい」のイメージが強いが、実際は男女ともにできる成分で、決して「オヤジだけ」にできるわけではないという。

 ノネナールの発生量は個人差が大きく、若くても大量に出る人もいる。五味院長は、「メタボリック症候群の人は若くても加齢臭が強い傾向がある。血圧や中性脂肪、血糖値が高い人は要注意」と話す。ノネナールは皮脂が酸化してできるので、体内の脂肪や活性酸素が多くなるほどできやすくなる。つまり、生活習慣病の予防法がそのまま加齢臭の対策にもなる。

 「特に大切なのは食事の改善。動物性脂肪の摂取を控えめにして、ビタミンC、E、カテキン、セサミン、イソフラボンなど、活性酸素を減らす効果が期待される抗酸化物質を積極的に摂ってほしい」と五味院長はアドバイスする。

最近話題の「疲労臭」「ミドル脂臭」とは?

 次に、30~40代の男女が加齢臭以上に注意してほしいのは「疲労臭」と「ミドル脂臭」だ。

 疲労臭とは、すなわちアンモニアのにおい。本来、腸内や筋肉でたんぱく質が分解されるとアンモニアが発生し、これが血液に入って肝臓に運ばれ、無臭の尿素に代謝される。ところが疲労がたまっていたり、肝臓の働きが弱っていたりすると、処理しきれなかったアンモニアが汗に混じって出てくることになる。

 一方、「ミドル脂臭」は古くなった油のにおいなどといわれ、ノネナールよりも強いにおいがあるという。運動を行うと、筋肉に疲労物質とも呼ばれる乳酸ができる。これが汗とともに肌に出てきて、細菌に分解されるとジアセチルという「ミドル脂臭」のもとになる。

 「緊張したときに頭や腋からドッと出る汗を緊張性発汗と呼ぶが、この汗には乳酸が多く含まれる。こうした要因から、ストレスを抱えたままかく汗もミドル脂臭が強くなると考えられます」と五味院長。加齢臭と同じく、疲労臭やミドル脂臭の原因も日々の生活にある。疲れやストレスをためず、肝臓に負担をかけないことが予防となる。

エアコンでの体の冷やしすぎも臭い汗の原因に

 さらに、加齢とは関係なく、普段の運動不足から汗腺の機能が衰えてしまい、最初から「臭い汗」を出す人もいると五味院長は指摘する。「汗腺の機能が衰えている人は、アンモニアや乳酸、脂肪酸などが含まれた濃度の高い汗が出やすい。日ごろから運動などで積極的に汗をかくようにすれば、汗腺機能が高まり、きれいないい汗が出るようになる」(五味院長)。

 また、急激な温度変化も汗腺の働きを悪くするという。「特に冷房を24℃以下に設定すると血管が収縮する。そうなると、汗の原料は血液なので、スムーズに汗を出せなくなる。体内に熱がこもり、炎天下に出た途端に、ドッと汗が出る。それが濃度の高い、くさい汗になります。設定は28℃にして、それでも暑い人は扇風機を併用するといい」(五味院長)。

 ハンカチなどで、あまり神経質に汗を拭きすぎるのも良くない。肌を乾燥させると、蒸発する汗がなくなって体温が下がらないため、かえって汗が出てくるからだ。こうしたことを防ぐには、湿ったタオルなどを使うといい。外回りなど、汗をかきそうな日はビニール袋に濡れタオルを入れて持ち運ぶ。ただし、何度も汗を拭いて放っておくと雑菌が繁殖するので、使う度に洗面所などで洗って清潔な状態をキープしよう。

衣服に水をスプレーして消臭対策

 デスクワークで汗をかかなかった日でも、1日で皮膚の常在菌は確実に増えている。特に頭や首筋、背中、胸、腋の下、陰部などは皮脂腺が多く、菌が繁殖しやすい場所なので、毎日しっかり洗ってほしい。

 汗臭さ対策で、つい見落としがちなのが衣類のにおい。夏の衣類はたっぷり汗を吸いこんでいる。いくら体を清潔に保っても、着ている服が汗臭かったら台無しだ。下着やシャツは1日に2~3回着替え、洗濯すればいいとして、問題はスーツのズボンやジャケットだろう。着るたびにいちいち洗濯するわけにもいかない。

 衣類用の消臭剤を使う手もあるが、五味院長によれば、ただの水をスプレーし、風通しがいい場所に吊るしておくだけでも消臭効果はあるという。「におい成分は水溶性なので、水が蒸発するときに一緒ににおいを取ってくれる」(五味院長)。

“汗くさい人”にならないための生活習慣
□運動で積極的に汗をかく
□食事では抗酸化物質を含む食材を多めに摂る
□冷房は28℃に。我慢できない人は扇風機を併用
□汗をかきそうな日は「濡れタオル」を持参
□スーツは脱いだら水でスプレーして吊るしておく
□疲れ、ストレスをためない

 ここまで、体臭の対策を紹介してきたが、まず初めに、そもそも自分は本当に“におっている”のかを確認してみたほうがいいだろう。「実際はにおっていないのに、“自己臭妄想”で悩む人が来院者の7割」(五味院長)という話もあるからだ。例えば、「自分の枕カバーやシャツ、下着をビニール袋に入れ、それをパートナーなどにチェックしてもらう」といった方法を五味院長が教えてくれた。

 もし、今回紹介した生活習慣の見直しを行ってもにおいが改善しない場合は、ワキガの可能性を疑ってみよう。その判定法と対策は次回(7月14日公開予定)に紹介する。

五味常明(ごみ つねあき)さん
五味クリニック 院長
五味常明(ごみ つねあき)さん 1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学病院形成外科、多摩病院精神科などの勤務を経て、84年から現職。流通経済大学客員教授。ケアマネージャー(介護支援専門員)として、デイケア事業や高齢者の臭いのケアにも取り組む。『気になる口臭・体臭・加齢臭』(旬報社)、『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』(かんき出版)など著書多数。