肥満やストレスも体臭を強める原因だった!
体臭をなくす第一歩は身近な生活習慣の改善から
伊藤和弘=ライター
最近話題の「疲労臭」「ミドル脂臭」とは?
次に、30~40代の男女が加齢臭以上に注意してほしいのは「疲労臭」と「ミドル脂臭」だ。
疲労臭とは、すなわちアンモニアのにおい。本来、腸内や筋肉でたんぱく質が分解されるとアンモニアが発生し、これが血液に入って肝臓に運ばれ、無臭の尿素に代謝される。ところが疲労がたまっていたり、肝臓の働きが弱っていたりすると、処理しきれなかったアンモニアが汗に混じって出てくることになる。
一方、「ミドル脂臭」は古くなった油のにおいなどといわれ、ノネナールよりも強いにおいがあるという。運動を行うと、筋肉に疲労物質とも呼ばれる乳酸ができる。これが汗とともに肌に出てきて、細菌に分解されるとジアセチルという「ミドル脂臭」のもとになる。
「緊張したときに頭や腋からドッと出る汗を緊張性発汗と呼ぶが、この汗には乳酸が多く含まれる。こうした要因から、ストレスを抱えたままかく汗もミドル脂臭が強くなると考えられます」と五味院長。加齢臭と同じく、疲労臭やミドル脂臭の原因も日々の生活にある。疲れやストレスをためず、肝臓に負担をかけないことが予防となる。
エアコンでの体の冷やしすぎも臭い汗の原因に
さらに、加齢とは関係なく、普段の運動不足から汗腺の機能が衰えてしまい、最初から「臭い汗」を出す人もいると五味院長は指摘する。「汗腺の機能が衰えている人は、アンモニアや乳酸、脂肪酸などが含まれた濃度の高い汗が出やすい。日ごろから運動などで積極的に汗をかくようにすれば、汗腺機能が高まり、きれいないい汗が出るようになる」(五味院長)。
また、急激な温度変化も汗腺の働きを悪くするという。「特に冷房を24℃以下に設定すると血管が収縮する。そうなると、汗の原料は血液なので、スムーズに汗を出せなくなる。体内に熱がこもり、炎天下に出た途端に、ドッと汗が出る。それが濃度の高い、くさい汗になります。設定は28℃にして、それでも暑い人は扇風機を併用するといい」(五味院長)。
ハンカチなどで、あまり神経質に汗を拭きすぎるのも良くない。肌を乾燥させると、蒸発する汗がなくなって体温が下がらないため、かえって汗が出てくるからだ。こうしたことを防ぐには、湿ったタオルなどを使うといい。外回りなど、汗をかきそうな日はビニール袋に濡れタオルを入れて持ち運ぶ。ただし、何度も汗を拭いて放っておくと雑菌が繁殖するので、使う度に洗面所などで洗って清潔な状態をキープしよう。
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