認知症の一歩手前、「軽度認知障害(MCI)」とは?
ここで食い止めれば認知症になるのを予防できる!
認知症は1日、2日で突然、発症する病気ではない。認知症と診断される前から、徐々に認知機能の低下は始まっている。軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、この認知症になる一歩前の状態。現在、推計で約400万人いるといわれるが、この段階で適切な対処を行えば認知症になるのを大幅に遅らせることも可能だ。今回は軽度認知障害(MCI)について紹介する。
軽度認知障害は日常生活がどうにか送れるレベル

「『最近、物忘れが多くなった』『頭がうまく働かない』など、本人や家族などが気付き、認知症かもしれないと不安を感じているが、日常生活は自立して送ることができるような場合、軽度認知障害が疑われます」と話すのは、メモリークリニックお茶の水の院長で、東京医科歯科大学の特任教授も務める朝田隆さんだ。
認知機能には記憶力のほかにも、注意力や方向感覚、推察する力などがあるが、軽度認知障害は、記憶力には多少の衰えがあるものの、注意力や方向感覚には問題がなく、日常生活を自立して送ることができる状態を指す。例えば、もの忘れによる騒ぎや探しものはしばしばあるが、方向感覚が悪くなり迷子になるようなトラブルはないという段階が、軽度認知障害となる。
記憶障害 | 直近のエピソードを忘れている |
同じ質問・話を繰り返す | |
時間の見当識障害 | 日付や曜日が分からない |
どれくらい前のことか分からない | |
性格変化 | 依存傾向が強くなった |
怒りっぽくなった | |
意欲の低下 | 長年の趣味を止める |
物事に対する興味・関心の喪失がみられる | |
話の理解困難 | とんちんかんな応答をする |
少し複雑な話は理解できない |
必ずしも認知症に進むわけではない
軽度認知障害になると、「このまま一気に認知症に進んでしまうのか?」と不安になるかもしれないが、必ずしも、そのまま認知症へ進むわけではない。「適切な対処をすれば、健康な状態に改善できる場合もあります」と朝田さんは話す。
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