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一から学ぶ、認知症

「明日は我が身」認知症も介護も人ごとではない

『母さん、ごめん。』著者、松浦晋也さんインタビュー(後編)

 伊藤和弘=フリーランスライター

「明日は我が身」と知ってもらいたい

その後、お母さんはグループホームに入り、松浦さんの介護生活は終わりました。2年半にわたる介護で、最もつらかったことは何でしたか?

松浦晋也さん。
[画像のクリックで拡大表示]

松浦さん 排泄物の始末などは何も考えず機械的に処理していましたし、一つひとつは小さいことなんです。でも、その小さなストレスが知らず知らずのうちにたまっていくことが、一番の苦痛でした。

 介護している人に「それくらいできるでしょ」とか「これくらいやってあげればいいのに」、あるいは「なんでこんなこともしてあげられないの」といった言葉をかけてはいけないと思います。ただでさえ水がいっぱいにたまっているコップのようなものですから。ストレスがない状態なら「それくらい」のことでも、いっぱいいっぱいの人にはそうじゃないんですよ。

 あと、私が作ったご飯が「まずい!」と言われたことはつらかった…。

最後に、この本を読んだ方に最も伝えたいことは何でしょうか?

松浦さん 一言でいえば、「明日は我が身」です。それは二つの意味があって、一つはやがて「親の介護」を自分がすることになるかもしれないということ。とにかく、早くから準備しておくことが大切です。

 高齢の親がいる方は、まだ元気なうちから地元の地域包括支援センターに相談しておいたほうがいいでしょう。「ここにこういう年寄りがいる」といっておけば相談員が来てくれますから。親もなじみができるし、何か起きたときも早めに適切な対処ができるようになります。

 もう一つは、将来「自分が認知症になる」かもしれないと意識するということです。認知症のリスクファクター(危険因子)は分かってきていますよね。糖尿病や高血圧を予防する。タバコをやめる。定期的に運動をする。それで絶対に認知症を防げるわけではないけれども、リスクは小さくできます。

 ただ、それでも発症する可能性はある。リハビリパンツが必要になったとき、羞恥心を振り切ってスパッとはくことができるのか。理性があればできることが、認知症を発症するとできなくなったりします。その意味では、認知症はがんよりも怖い病気かもしれません。自分の生き方が選べなくなる――。それが認知症の恐ろしさだと思います。

(インタビュー写真:菊池くらげ)

松浦晋也(まつうら しんや)さん
科学ジャーナリスト、宇宙作家クラブ会員
松浦晋也(まつうら しんや)さん 1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。日経BP社記者を経て独立。宇宙開発、コンピューター・通信、交通論などの分野で取材・執筆活動を行っている。著書に『はやぶさ2の真実 どうなる日本の宇宙探査』(講談社現代新書)、『のりもの進化論』(太田出版)など。2017年8月、『 母さん、ごめん。50代独身男の介護奮闘記』(日経BP社)を出版した。

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