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一から学ぶ、認知症

治る認知症もある! 幻覚、妄想、暴言などを改善するヒントも

特発性正常圧水頭症(iNPH)の特徴と治療法

 福島恵美=ライター

 iNPHは、脳のMRI(磁気共鳴画像診断装置)で発見できる。図1の中央は、iNPHの人の脳のMRI画像。真ん中の黒い部分が脳脊髄液のたまったところで、その部分がかなり大きくなっている。

脳のMRI冠状断面の画像。左からアルツハイマー病、特発性正常圧水頭症(iNPH)、健常者。真ん中の黒い部分が脳脊髄液のたまったところで、アルツハイマー病の人より、iNPHの人の方が大きくなっている。逆に脳の上の方の頭蓋骨と脳の間の黒い隙間が、iNPHでは狭くなる。真ん中は大きくなり、上は狭くなるのがiNPHの特徴である(画像提供=數井さん)
脳のMRI冠状断面の画像。左からアルツハイマー病、特発性正常圧水頭症(iNPH)、健常者。真ん中の黒い部分が脳脊髄液のたまったところで、アルツハイマー病の人より、iNPHの人の方が大きくなっている。逆に脳の上の方の頭蓋骨と脳の間の黒い隙間が、iNPHでは狭くなる。真ん中は大きくなり、上は狭くなるのがiNPHの特徴である(画像提供=數井さん)

「シャント術」でどれだけ効果があるか

 治療には「シャント術」という手術が行われる。脳にたまった過剰な脳脊髄液を、体内に入れた管を通しておなかの方に流すというもの。頭蓋骨に小さな穴を開けて脳からおなかに管を通す「V-Pシャント術」と、腰からおなかに管を通す「L-Pシャント術」がある。L-Pシャント術は脳を傷つけることなく手術でき、近年多く行われるようになってきているそうだ。

過剰な脳脊髄液をおなかに流す「シャント術」には、主に2つの方法がある。近年は腰からおなかに管を通す方法が多く行われるようになってきている
過剰な脳脊髄液をおなかに流す「シャント術」には、主に2つの方法がある。近年は腰からおなかに管を通す方法が多く行われるようになってきている

 iNPHの100人に臨床研究に協力してもらい、シャント術をしたところ、明らかな認知機能障害を持つ、認知症レベルにあった80人のうち37人が正常、もしくは軽い症状はあるが日常生活を送るには問題のない状態になったという。

 「80人中の37人ですから、46%の方の認知症が治ったといえます。ただし、臨床研究として行っているので、iNPH以外の病気がないなど条件の良いiNPHの人が、iNPHを熱心に治療している医師によって診断と治療された結果なので、実臨床よりは良いデータだと考えられます。軽度の段階でシャント術を受ける方が、自立した生活を送れる可能性は高い(*1)ので、早期に発見し、早く対処することが重要です」と數井さんは力を込める。

怒りっぽいなどの症状は対応法が治療に

 怒りっぽかったり、幻覚を見る・妄想があるなどの症状が見られたり、不安になったりする認知症の行動・心理症状(BPSD)についても治療はできるという。

*1 數井裕光 認知症診療におけるかかりつけ医の役割 日本臨床内科医会会誌.2017;32(4):569‐575.
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