暴言や徘徊がなくなる!?認知症患者を救う奇跡の対話法「バリデーション」
最後まで失われない機能「感情」に働きかけるコミュニケーション
伊藤左知子=医療ジャーナリスト
間違いを正す手法の限界
バリデーションは、アメリカ人のソーシャルワーカーであるナオミ・ファイルさんによって1960年代に開発された。そもそもナオミさんが認知症の介護に携わるようになったのは、彼女の両親がナーシングホーム(日本の特養老人ホームに当たる施設)を経営していた影響が大きい。小さい頃から、認知症の高齢者と家族のようにして育ってきた彼女は、両親の意志を継ぐべく、コロンビア大学でソーシャルワークを学び、大学の修士課程修了後、実家のナーシングホームで、ソーシャルワーカーとして認知症の高齢者と接するようになる。