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一から学ぶ、認知症

平均発症年齢51歳! 働き盛りを襲う若年性認知症

周囲の支援が最高の治療

 小崎丈太郎=ライター

 そんなことから、本人や家族の相談を受けてきた田中さんは、「パーソナリティ(自分らしく)」「リラックス(気楽になる)」「エンジョイ(楽しむ)」「コミュニケーション(交流)」「ジョブ(働く)」の5つのコンセプトを重要視しながらMARINEの活動を展開。人と交流して楽しめる機会を提案したり、これまでの仕事を続けるための支援などをしているという(表)。

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 発症しても、人生は続く。認知症と診断されてショックを受けても、それを受け入れ、認知症から発生する様々なストレスを軽減することが、本人にとっても家族や友人、職場の同僚にとっても重要になるのだという。

 そこで頼りとなるのは、MARINEのような支援団体の存在だ。こうした団体の中には、家族同士や本人同士の交流のためのサロンや集いの場を定期的に作っているところもある。そうした場で日ごろの不安や問題点を話し合うことは、家族や本人の気持ちを安定させ、生きるための意欲を湧かせる効果がある。認知症には根治薬がないなど、治療の選択肢は限られている。しかし、語らいの場は本人の気持ちを前向きなものにするばかりではなく、家族の心身の疲れを癒す働きも期待できる。田中さんは「話すことは(悩みを)放つこと」と語りの場を作ることを重視、MARINEでは毎月第3日曜日の午後にサロンを東京都練馬区内で開催しているという。

40歳以上なら介護保険を利用できる

 語りの場のほか、社会には若年性認知症の家族の助けとなる様々な制度やサービスも存在している。まず医療費の助成について。認知症で通院治療している場合、医療費の自己負担が1割に軽減される。詳しくは自立支援医療(精神通院医療)の概要を見るか、住んでいる地域の市区町村担当課(障害福祉課など)に相談するのがいい。認知症の原因疾患が前頭側頭型認知症である場合は、一定の条件を満たせば難病指定を受け、難病医療費助成制度の対象となることもある。

 住宅ローンがある場合は、金融機関の担当窓口に相談する。保険の加入内容によって異なるが、認知症が高度障害と認定されればローンの返済を免除されることもある。障害年金、障害手当金などの給付が受けられることもあるので、年金事務所や市町村の年金窓口に相談する。全国健康保険協会(協会けんぽ)や健康保険組合連合会に加入している事業所に勤務する人の場合、傷病手当金の給付を受けられる可能性があるので、職場の人事部などに相談するといい。仕事を退職した場合で、再就職する意志がある場合は、雇用保険(失業等給付)を受けられるのでハローワークに相談したい。

 介護保険サービスも若年性認知症と診断された人は40歳から利用が可能で、近くの地域包括支援センター(高齢者相談センター)に相談することができる。ただし、高齢者の中に入ってデイサービスを利用することに抵抗感を抱く人も少なくない。どのようなサービスが自分に合っているかをケアマネジャーと相談して選択することが大切だ。

 以上のほかにも、社会生活や経済的な支えとなる様々な制度が存在する。問題は、診断されてすぐにこれら点在する制度、サービスを調べることは難しいことだ。そこで国は、都道府県ごとに若年性認知症の人やその家族からの相談の窓口を設置し、そこに若年性認知症支援コーディネーターを配置している。ホームページで調べ、自宅近くの窓口に相談することがお勧めだ。

若くして親の介護を行う「ヤングケアラー」の支援も必要

 若年性認知症と向き合う人が抱える新たな問題として、ヤングケアラーの存在にも注目が集まっている。ヤングケアラーとは若くして親の看護や介護を行っている子どもや若者のこと。Aさんの子どものように10代の時に親(Aさん)が認知症を発症したために、手伝いの延長線上で親の介護をするようになり、進学や就労に支障が出る例も少なくない。

 成人していないために親の病気から受ける心理的な影響も大きく、教育、就職、結婚などの人生設計にも大きな支障が出かねない。MARINEも家族支援の一環としてヤングケアラーの支援に乗り出している(「子ども世代のつどい まりねっこ インスタグラム」で検索、2019年9月7日に同会主催で、子ども世代の集いを開催する予定がある)。

(図版作成 増田真一)

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