認知症疑いの親を、上手に受診させるには?
どのような症状が出てきたら認知症?
伊藤左知子=医療ジャーナリスト
認知症は早期発見が大切なことを前回紹介したが(「早期発見のメリット」参照)、例えば自分の親にどのような症状が出たら認知症を疑えばいいのか、その基準がはっきりしない人も多いのではないだろうか。また、認知症の疑いがあってもなかなか病院を受診してくれない親などをどのように連れて行けばいいのか。今回は早期発見と早期受診のコツについて紹介する。
認知症、早期発見のコツ

早期発見が大切な認知症だが、症状がかなり進まないと気付かれないケースが多い。
「例えば親の場合、同居していれば変化に気付く機会もありますが、1年に1回か2回帰郷する娘・息子ではなかなか分からないでしょう」と、川崎幸クリニック院長の杉山孝博さんは話す。
同居していなくても分かる兆候はないのだろうか。判断に役立つチェックリストの一つが、「認知症の人と家族の会」が作成した「家族がつくった認知症早期発見のめやす」(下記参照)だ。
これら20個のチェック項目を念頭に置きつつ、「最近あったことなどについて話をよく聞いたり、たまに会ったときによく観察すれば、変化に気付くことがある程度は可能です」(杉山さん)。
当てはまる項目がいくつかあれば、認知症の疑いが強いので、一度病院で詳しい検査をしてもらうといいだろう。
物忘れがひどい |
1 今話したばかりの電話の相手の名前を忘れる |
2 同じことを何度も言う・問う・する |
3 しまい忘れ、置き忘れが増え、いつも探し物をしている |
4 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑う |
判断力・推理力が衰える |
5 料理・片付け・計算・運転などのミスが多くなった |
6 新しいことが覚えられない |
7 話のつじつまが合わない |
8 テレビ番組の内容が理解できなくなった |
時間・場所が分からない |
9 約束の日時や場所をまちがえるようになった |
10 慣れた道でも迷うことがある |
人柄が変わる |
11 些細なことで怒りっぽくなった |
12 周りへの気遣いがなくなり頑固になった |
13 自分への失敗を人のせいにする |
14 「このごろ様子がおかしい」と周囲から言われた |
不安感が強い |
15 ひとりになると怖がったり寂しがったりする |
16 外出時に持ち物を何度も確かめる |
17 「頭が変になった」と本人が訴える |
意欲がなくなる |
18 下着を替えず身だしなみを構わなくなった |
19 趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった |
20 ふさぎ込んで何をするのも億劫がり、いやがる |