高カカオのチョコレートは脳によい影響を与える?
加齢とともに減るBDNFを増やす可能性アリと期待
伊藤左知子=医療ジャーナリスト
2月のバレンタインデーシーズンは世界中からチョコレートが集まるおいしい季節。プレゼント用のみならず自分用に購入する人も多いのでは? そんな折、高カカオのチョコレートが、もしかすると脳にいい影響を及ぼすかもしれないという研究報告が出てきた。はたして、チョコの成分と認知症の関係はいかに。
チョコレートを食べると増えるBDNFに認知症予防の期待

甘くておいしいチョコレート。そのルーツは紀元前後の中南米といわれ、最初の頃はカカオにスパイスを加えた甘くない飲み物を作って、それを皇帝が薬として飲んでいたとか(*1)。その後、チョコレートはヨーロッパに渡り甘いお菓子として発展していくわけだが、現代になって再びチョコレートの健康効果が注目されている。
「近年、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには抗酸化作用があり、コレステロール値の改善、血圧低下など、生活習慣病の予防と改善に期待できるとする研究報告が数多く出されています」と話すのは桜美林大学老年学総合研究所所長の鈴木隆雄さん。
そうした中、チョコレートの摂取が脳に何らかの効果があるかもしれないという研究が報告された。この研究は日本人を対象にした調査研究で、愛知県蒲郡市、愛知学院大学、菓子メーカーの明治が産学共同で実施したもの。蒲郡市内外の45~69歳までの347人(男性123人、女性224人)に4週間(2014年6月から7月中旬)、カカオポリフェノールを多く含むチョコレート(*2)を毎日25g(5gを5枚)、合計約150キロカロリー摂取してもらい、摂取前後の血圧測定や血液検査などで身体の状態の変化を検証したものである。
この研究の結果、チョコレートの摂取前(0週)と摂取後(4週)を比べると、BDNF(脳由来神経栄養因子)の血中濃度が有意に上昇していたことが分かったという(*3)。
実はこのBDNF、認知症と深く関係があるのではないかといわれている。
*2 カカオ分72%のチョコレートを使用
*3 「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」レポート (愛知県蒲郡市、愛知学院大学、 明治の産学共同)
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