認知症患者に自動車運転をやめさせる有効な方法
運転をやめると認知症が進行するって本当?
川畑信也=八千代病院 神経内科 部長
2001年の道路交通法の改正によって、アルツハイマー型認知症など認知症と診断された患者さんは運転免許の取り消しまたは返上が規定されるようになりました。しかし実際には、診断後も自動車の運転を継続する患者さんは少なくありません。そこで今日は、認知症の患者さんに自動車の運転をやめさせる方法について、医師としての私の経験も交えてお話しましょう。家族が認知症と診断されたという方は必見です。
診察後、直ちに車の運転をやめるよう患者さんに指示しました。しかし、患者さんは「どうして自分が運転をしてはいけないのか。運転に何の問題もない」と言い張り運転をやめることに納得しません。
家族には患者さんの車を処分してはどうかとアドバイスしたところ、自営業をしている都合上、軽トラックやダンプカーなどが5台あり、複数の人間が運転に関わっているので、処分は難しいとのことでした。患者さんから鍵を取り上げたらどうかと提案したところ、仕事の都合上、複数の車がエンジンをかけたままの状態になっているので、鍵を取り上げてもあまり効果はないという返事でした。
この患者さんには認知機能検査の結果を説明し、アルツハイマー型認知症であると病名を告知したうえで、認知症に進展した患者さんは車の運転をしてはならないと法律で定められていることをやや口調を強くして指導し、運転禁止を厳命しました。その後、運転はしていないとのことでした。