認知症疑いの親 運転をやめてもらうコツは
友だちや主治医から話してもらうのも一案
伊藤左知子=医療ジャーナリスト
認知症が疑われる高齢者による自動車事故のニュースが増えている。もし自分の親が事故を起こしたらどうしようと心配になる人も少なくないだろう。事故を起こしてしまう前に運転をやめてほしいが、まだしっかりしている人に運転をやめろとは言いにくい。どのタイミングでやめてもらうのがいいのか。また、具体的にどう説得すればいいのか。認知症の人と家族の会全国本部の副代表理事でもある川崎幸クリニック院長の杉山孝博さんに話を聞いた。

運転をやめてもらうタイミングは?
「認知症と診断されたら、免許は返上しなければなりません。もちろん、安全のために、認知症の兆候が出た段階で運転はやめてもらう必要があります」と川崎幸クリニック院長の杉山孝博さんは言う。
ただし、認知症は今日から認知症と区切れるものではない。徐々に進行していくため、認知症になっても周囲が気付きにくいケースも少なくない。運転をやめさせるタイミングとして、見逃してはならない変化は何だろうか。杉山さんによれば、次の8項目のうち、ひとつでも当てはまれば、やめさせるタイミングになるという。
こうした兆候に注意しつつ、例えば、壁に擦ってしまったり、標識を見落としたりなど、本人が運転に不安を感じた時に「危ないから運転をやめようね」と、説得すると比較的うまくいくことが多いそうだ。
運転をやめさせるコツはあるか
認知症の疑いがある親に「人身事故でも起こしたらどうするの? もう運転はやめたほうがいいよ」と言っても、「何年運転してきたと思っているんだ。ばかにするな」と聞き入れてもらえないケースも少なくないだろう。どうすればいいのだろうか。
「危ないから運転をやめろと言っても、認知症になると頑固になって、特に介護者である身近な家族の言うことはなかなか聞いてくれなくなります」と杉山さんは話す。
ではどうすればいいのか。
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- 無理にやめさせると認知症が進む?