日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

美食を我慢せずとも体重を維持できるワケ【元トリンプ社長・吉越氏】

第4回 フランス流食事の取り方

 吉越浩一郎=吉越事務所代表

仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長の吉越さんにご登場いただく最終回。1年の半分以上を夫人の出身地である南仏で過ごす吉越さんにフランス流健康術を教えていただく。

朝は果物、昼は肉をガッツリ、それでも太らないのは…

「南仏で食べる果物はおいしくて、ついつい食べすぎてしまいますが…。」
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 私は今、1年の約半分を妻の故郷である南仏で過ごしています。向こうは1年を通して過ごしやすい気候で、自然にも恵まれた場所。食べ物も本当においしい。だからついつい食べすぎてしまいます。

 一番すごいのは果物。その種類と量は圧倒的です。それもフランスは農業国だから、フランス国産のものがたくさんある。しかも安い。リンゴ一つとっても何種類あるのかっていうくらい店頭にたくさん並んでいます。プルーンもじゃがいももそう。日本では見たことのない果物もいっぱい並んでいて、世界にはこんなに果物というものがあるんだ、と圧倒されます。

 だから生の果物や、果物で作ったジャムは、フランス滞在中の朝食には欠かせません。南仏の我が家にはイチジクの木があって、毎年たくさん実がなるんですが、これもすごくおいしくって。このイチジクもそのまま食べるだけでなく、それを使って女房がジャムを作ります。砂糖をほとんど入れないのですが、イチジクそのものの甘さで十分おいしいんです。

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「毎年たくさんイチジクの実がなるんですが、おいしいものだから鳥が食べちゃう。運よく食べられずにすんでも熟すとポターンと下に落ちてしまう。鳥が来ないうち、そして熟して実が落ちる前に採るのは結構難しいんですよ」

 肉料理も「こんなに食べられるかなあ」という量が出てきます。日本なら120gとか、多くても200gくらいでしょう? でもフランスでは350gとか400gとか平気で出てきます。それでも不思議とペロリと平らげられちゃうんですよね。

 でも、それだけ食べても、私はそんなに太っていません。身長187cmで体重83kg、体脂肪率は23%前後ですから、まあ普通の範囲内。むしろ少し高めのほうが長生きするといわれているので、このくらいでいいと思っています。こうした体型が維持できているのは、しっかり食べるのが昼だからではないでしょうか。

昼しっかり食べて、夜は軽くがフランス流!?

 フランスに滞在しているとき、夜は外へ食べに行きません。そもそも向こうはランチがメーン。お昼なら星付きレストランでもリーズナブルで、70ユーロも出せば豪華な料理が楽しめます。

 ですので、昼は会話を楽しみながらみんなとわいわいたっぷり食べますが、夜はワインを嗜みつつ、軽くチーズをつまむ程度です。ですので、1日の総摂取カロリーは、特別高いわけではありません。

 夜寝る前に食べ過ぎてしまうと、睡眠中に胃腸が悲鳴を上げてしまいますが、昼間なら胃腸がよく動くのではないでしょうか。だから、昼はしっかり食べて、夜はなるべく早い時間に軽い食事をする。少なくとも私の周りでは、そんな胃腸にやさしいライフスタイルを自然と実践しているフランス人がとても多く、私もそれにならっているわけです。

南仏の料理はカラダにいい!?

「東京の自宅のリビングの一角。ここだけ見ると、ちょっと南仏っぽいですね、とカメラマンさんが…(笑)」

 また、「フランス料理は重くて、胃にもたれる」というイメージを持っている人が多いかもしれませんが、最近はだいぶ変わってきています。確かに以前はそうした料理が主流でした。でも今は向こうも健康志向が強まり、ヘビーな料理を食べる人が少なくなっています。同じフランスでも、南仏のほうは味付けやソースが軽くて、ずっとヘルシー。イタリアンに近い感じでしょうか。私が口にするのも、南仏の料理が中心です。

 オリーブオイルを積極的に使い、野菜・果物やナッツ類を豊富にとる地中海式の食事は、メタボリックシンドロームの予防やダイエットに効果が高いといわれています。私は、この種の知識にそれほど詳しいわけではありませんが、南仏で時間を過ごすうちに自然と、体にいい食生活を送れているのかもしれません。

 せっかくの人生ですから、おいしいものはどんどん食べるべきだというのが私の考えです。食べ方と調理法を工夫すれば、多少食べすぎても大丈夫。むしろ、食べたいのに無理に我慢するほうが体に悪いと思いませんか。


(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)

取材を終えて

 吉越さんにはこれまで何度となく取材させていただいてきた。「残業ゼロ」に関してはもう何回聞いたか分からない。今回、健康をテーマにお話をうかがったが、まさかそれが残業しないこととつながるとは思ってもみなかった。吉越さんの話を聞いていると、反論の余地はなく、いつも耳が痛い思いがする。

 しかし、そんな吉越さんもかつては日本人的な長時間労働をしていたというから少しだけ安心する。吉越さんの働き方を変えたのはフランス人の奥様の影響が大きい。やはり無理にでも環境をつくることが一番の早道なのだと感じた。(荻)

■吉越氏のカラダ資本論
第1回 リーダーの責務は「まず、よく寝ること」
第2回 「残業ゼロ」は健康にいい
第3回 ゴルフコースでカートには絶対乗らない

吉越浩一郎(よしこし こういちろう)さん
吉越事務所代表
吉越浩一郎(よしこし こういちろう)さん 1947年千葉県生まれ。独ハイデルベルク大学留学後、72年上智大学外国語学部卒業。メリタジャパンなどを経て、83年トリンプ・インターナショナル(香港)に入社。86年からトリンプ・インターナショナル・ジャパンに転じ、92年から2006年まで社長を務める。この間、19期連続増収増益を達成。