日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

ゴルフコースでカートには絶対乗らない【元トリンプ社長・吉越氏】

第3回 1日1万歩以上を実現する秘訣

 吉越浩一郎=吉越事務所代表

仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今月はトリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長の吉越浩一郎さん(68歳)にご登場いただく。30歳の時、痛風と診断された吉越さん。今は大きな問題なく、病気と上手に付き合えているという。対処法の中心は歩くことだ。

痛風と40年近く付き合っています

「香港時代、ドイツ人と働いていたらビールの飲み過ぎで痛風になっちゃいました(笑)」
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 私は30歳くらいのときに痛風だと診断されました。ある朝、かかとがひどく痛み出した。足をくじいたような感じです。早速、近くの病院に行くと、「足をくじいていますね」と言われました。「いやいや先生、昨日の晩、寝るまでは何ともなかったんです。寝ている間にどうやって足をくじくのですか?」「これはくじいています」。その日はそんな押し問答で終わってしまい、妻の勧めで別の医師に診てもらったところ、診断されたのが痛風でした。

 心当たりはありました。何しろ香港での勤務時代、ドイツ人の同僚と毎晩ビールを飲んでいましたからね。日本人は何かつまみながら飲むでしょう? 向こうはビールがつまみであり飲み物なんですよ。とにかくただただゴクゴク飲み続ける。もうすごいんですよ。それに付き合っていたら私もビールがたくさん飲めるようになり、最後は痛風になっちゃった。こうなったのは彼らのせいかもしれません(笑)。

 私の場合はそれ以後、薬を服用し、ビールを控えめにすることで痛風とうまく付き合えています。

 あと大切なのは運動です。会社を辞めてからも毎日のように会食の予定が入っているのですが、それでも何とか調子を崩さずにいられるのは運動のおかげです。

「1日1万歩」を実現する秘訣

 具体的には、できるだけ車を使わず、歩くようにしています。目標は1日1万歩。みなさんと食事をした後、「では私はここから歩いて帰ります」といって別れることも多いですよ。習慣になってしまえば、歩くことが苦痛ではなくなります。

 歩かないと駄目ですね。先日、経営者仲間の飲み会がありました。その中に、最近社長を辞め、会長に就任した仲間がいたのですが、顔色が悪かった。だから、「お前、ちゃんと歩いていないな。会長になったんだから歩け」と注意したところです(笑)。

 私は現役を退いてから、1年の約半分を妻の故郷である南仏で過ごしています。よく向こうでもゴルフを楽しむのですが、驚くのは、フランス人はラウンドを回るときにカートに乗らないことです。ほとんどの人が自分でゴルフバッグを小型のカートに載せて引くか押すかして、とにかく歩くのです。

 この間、ゴルフ場で見かけた日本人は足がつっていましたよ。長い距離をいきなり歩いたからでしょう。年頃は50代くらいとお見受けしましたが、その後はカートに乗って移動していました。

「見てください、この青く澄んだ空! 緑もきれいで、こんな環境でのゴルフは最高です」
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 私も最初はしんどかったですよ。今は電動のゴルフバッグカートを買って、それに引っ張られるようにして歩いています。大体1ラウンドで1万5000歩はいくでしょうか。

 でも無理に身体を動かしているという感覚はありません。なぜかってゴルフコースから望む風景が信じられないくらいきれいで、気持ちがいいからです。からっと晴れて雲一つない紺碧の空。南フランスの独特の光の感じがいいんですよね。

日本ほど散歩に適した国はない!?

「日本は散歩がしやすい場所。この環境を生かさない手はないですよ」
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 一方で、フランスは車社会なので、普通の道ではとてもではないが歩くことができません。歩道がなく、ガードレールもない。街中はスピード制限が50キロですが、ちょっと街を出ると90キロになりますからね。おちおち散歩するどころではないんですね。

 そういった意味では日本は恵まれています。日本だったら、今日は天気がいいから歩こうかなんてできますから。せっかくの環境を有効活用しなくてはもったいないと思います。

 私自身、歩くようになってからとても調子がいい。やっぱり体が軽いですよね。フランスではおいしいものばかり食べているのですが、日本に帰るときには大抵体重は2キロくらい減っています。

■吉越氏のカラダ資本論
第1回「リーダーの責務は『まず、よく寝ること』」
第2回「『残業ゼロ』は健康にいい」
第4回 美食を我慢せずとも体重を維持できるワケ


(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)

吉越浩一郎(よしこし こういちろう)さん
吉越事務所代表
吉越浩一郎(よしこし こういちろう)さん 1947年千葉県生まれ。独ハイデルベルク大学留学後、72年上智大学外国語学部卒業。メリタジャパンなどを経て、83年トリンプ・インターナショナル(香港)に入社。86年からトリンプ・インターナショナル・ジャパンに転じ、92年から2006年まで社長を務める。この間、19期連続増収増益を達成。