「残業ゼロ」は健康にいい【元トリンプ社長・吉越氏】
第2回 長時間労働は百害あって一利なし
吉越浩一郎=吉越事務所代表
勤務中にSNSやネットサーフィンをしていない?
私が昼間フェイスブックに投稿したり、コメントをしたりすると、仕事を持っている友人たちが「いいね」を押してくれます。それはそれでうれしいのですが、いいねを押しているということは、彼らは就業時間中であるにもかかわらず、フェイスブックを見ていることになりますよね。おかしいと思いませんか? 私は現役じゃないからいいけど(笑)。要するに、まともに仕事をせずに、ネットで遊んでいるわけです。

また、すこし前の話になりますが、私の講演を聞いてくださったコンサルティング会社の方が「クライアントに残業削減を指南したいので手伝ってもらえないか」と申し出てくださったので、「日本を良くしなければいけないので、ぜひやりましょう。ただし条件が一つあります」と言いました。
その条件とは、「あなたがたの会社でまず残業をゼロすること」というものでした。結局、それは難しいと、話は立ち消えになってしまいました。残業をゼロにできない会社が、他の会社に残業削減を指導できるわけがないですよね。あまりに説得力がありません。
残業ゼロについては外資系企業を見習いたい
そもそも残業ゼロは、私自身が主体的にいいと感じて始めたことではありません。それはフランス人の女房と結婚して、そういう価値観に触れたからです。
結婚した当初、日本で残業ばかりしていたら、夫婦関係が危機に陥り、仕事のやり方を見直していきました。香港で働くことを強く勧めたのも女房です。
外資系企業で上司も外国人、部下も外国人という環境に置かれたことも大きく影響しています。欧米人は残業をしない。時間内ですべての仕事をきっちり終えるだけでなく、高いレベルでの仕事の質の競争になる。インターネットで遊んだり、無駄なおしゃべりをしたりしている時間などありません。
日本人が皆、彼らのような仕事の仕方に変われば、この国はまだまだ戦えると私は信じていますが、いかがでしょうか。
(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真:鈴木愛子)
■吉越氏のカラダ資本論
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第4回 美食を我慢せずとも体重を維持できるワケ
吉越事務所代表

