「残業ゼロ」は健康にいい【元トリンプ社長・吉越氏】
第2回 長時間労働は百害あって一利なし
吉越浩一郎=吉越事務所代表
仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。
一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長の吉越浩一郎さんの第2回目は「残業ゼロ」がテーマ。残業しないことは仕事の効率を上げるばかりでなく、健康にもいい効果を発揮するとか。その理由とは。
「長時間働く=一生懸命に仕事する」ではない
前回の記事で、リーダーの重要な仕事として毎日8時間睡眠を実践していたと言いました。激務をこなす中でその時間を捻出するのは楽ではありません。「2次会には行かない」だけですむはずがなく、残業をせずに帰ることが大前提となります。
100%のエネルギーを注いで仕事をして、時間内に終える。無駄な残業をしないことはいいこと尽くめです。質の高い仕事ができるうえ、十分な睡眠時間が確保できる。体力も余るし、疲れません。こうした残業ゼロの素晴らしさをかれこれ20年近く主張しているものの、実践する人が少ないのはなぜなのでしょうか。
以前、同年代の経営者仲間6人で集まる会を開いていました。残念ながら、そのうちの2人はすでに亡くなっています。私とさほど年頃は変わらなかったのに、です。
なぜそんなことになったのかと言えば、働きすぎが一番の原因だと思います。働きすぎというのは、長時間労働を指します。
「最近、くたびれているな」とか、自分の体が悲鳴を上げているのを感じることはありませんか。そういうことがしょっちゅう起きているのは決して好ましいことではないと思います。そうした疲労の積み重ねが体を蝕んでいくのです。
実際、日本人は働きすぎですよ。そのせいで心身ともに疲れて、健康面で不調を来す人が多いのです。
長い時間働くことを、一生懸命に仕事をしていることとイコールだと思っている人は少なくない。それは違うと、私は言いたい。
長時間労働では100%の効率は狙えなくて、およそ7割、8割くらいになるでしょう。むしろ8時間だけと限って、集中して仕事をしたほうがよほどいい。そうした仕事の仕方をしないと、自分の体に負荷をかける一方。くたびれていたら頭の回転は鈍り、いい仕事をできるはずがありません。