日々の習慣、就寝前のリラックスタイムを大切に【フィリップス・ジャパン 堤社長】
第1回 デジタル技術でヘルスケアに貢献、自身の健康管理にも活用
堤浩幸=フィリップス・ジャパン
睡眠の質をデータで確認、改善につなげる
それから、もう1つ大切にしているのは、日々の睡眠ですね。日本人の睡眠時間は、OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進諸国の中で最下位というデータがあります。その中でも特に、女性の睡眠時間が短い。先進国で女性の睡眠時間が男性よりも短い国は、日本だけなんですよ。このあたりにも課題を感じますね。

フィリップスでは、睡眠の質を高め、日中の活力を向上することを目的とした機器「SmartSleep ディープスリープ ヘッドバンド」を開発しました。SmartSleepは、センサーを搭載したヘッドバンド型のウェアラブルデバイスを装着して、モバイルアプリと同期することで、睡眠中の各種データを確認することができます。例えば、睡眠の深さや質が時間の経過とともにグラフ化されたり、日々の睡眠の健康度が100点満点でスコア化されたりします。
センサーが深い睡眠を感知すると、耳元にホワイトノイズと呼ばれるやわらかいオーディオトーンがランダムに流れ、深い眠りを増幅して睡眠の質を高めるように導きます。このオーディオトーンの発生回数も、アプリで可視化されて確認することができます。
このSmartSleepも自身で活用して、睡眠の質を高めるようにコントロールしています。使い始めた当初は、実はあまり効果が感じられず、睡眠の質を高めることに役立つのか、半信半疑だったんです(笑)。でも、2週間くらいたった頃から、睡眠の健康度を示すスコアが改善されてきて、朝目覚めた時にすっきりと起きられるようになりました。
また、毎朝起床後にスマートフォンのアプリでデータを確認すると、「今日はよく眠れていたな」「あまりよく眠れていなかったんだな」ということが分かり、その原因や改善策を自分なりに考えてみるようになりました。特に、低いスコアが出た時は、その夜は早めに寝るようにしてみたり、就寝前にストレッチや深呼吸をしてみたり。そうしてデータをもとに工夫していくことで、睡眠の質がより高められていく。眠りがデータとして可視化されることによって、行動変容につながっているように思います。
眠りに就く前にいいアイデアが浮かぶことも
私は1日の中でも、就寝前が最もくつろげます。布団に入って、リラックスして「今日も1日が終わった、さあ、眠ろう」と思うと、面白いことに、さまざまな記憶が鮮明になってくるんですよ。それまでは忘れていたようなことまで、リラックスした瞬間によみがえってくることがあります。仕事の新しいアイデアが浮かぶこともありますね。そういう時には、忘れてしまわないようにメモしておきます。
就寝前のリラックスした時に、脳が活性化するように感じるなんて不思議に思われるかもしれません。でも、私の場合は、次々にさまざまな考えが脳裏をめぐり、それが一段落すると、気持ちよくスッと眠りつける。これも、私にとっては大切なルーティンの1つですね。

時にはネガティブな考えが浮かぶこともありますが、嫌なことはすぐに忘れてしまいます。ただ、嫌なことがあるから、いいことがある。人生や日々の生活には浮き沈みがあるもので、だからこそ、いい時をより良く感じられるものだと思います。私はもともとポジティブ思考なのですが、周囲の人たちからは「スーパーポジティブ思考」だと言われます(笑)。
今のコロナ禍にあっては、このポジティブマインドが大切だと思います。今後はさらに、新しい時代を切り開く創造性が重要になってきますし、ポジティブマインドがそれを後押ししてくれるように思いますね。
(談話まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)
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フィリップス・ジャパン社長
