日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

元気の秘訣は“高音プレゼンテーション”にあり?【ジャパネット・髙田明さん】

第1回 声を出すことが前向きな自分をつくる

 髙田 明=ジャパネットたかた前社長

仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今回登場するのは、テレビ通販番組でのテンションの高い語り口でお馴染みのジャパネットたかた前社長・髙田明さんだ。2015年1月に社長を退いた今も、テレビ通販番組でよく通る声を出し続ける髙田さんの「カラダ資本論」とは。

 よく初対面の人に少し残念そうに「普段はテレビ通販番組のときのあのテンションではないのですね」と言われます。テレビでの印象が強いのか、どうやらいつも甲高い声でしゃべっていると思われているようで、普通に話しているだけで「声が低いのですね」などと驚かれます。日常生活であんな声を常に出していたら死んじゃいますよ(笑)。

テレビ通販番組でお馴染みの髙田明さん(中央)。髙田さんと言うと、あの高い声を思い浮かべる人が多いだろうが、取材時の話し方はいたって普通。画面から伝わってくる明るさはそのままでも、普段からあのテンションでは話せないのだとか…。
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 「台本があるのですか?」とも聞かれますが、一切ありません。いつもその場、その瞬間に思うまま話しています。より多くの人にこの商品の素晴らしさを伝えたいという想いが高じると、おのずとああいう調子になるのです。

 恋愛と同じです。みなさんだって意中の人を射止めるときに台本を作って口説くことはしなかったでしょう? 「あなたの目がきれい。いや、間違いました。口元でした」と言い直すことはしないですよね。伴侶にしたい、この人と添い遂げたいと思ったら、自分の言葉で懸命に表現するはずです。

 テレビカメラの前の私も、日ごろの私も常に自然体。別に無理をしていたり、つくったりしているわけではありません。

20年以上声を出し続けて思うこと

 私が現在のジャパネットたかたを設立したのは1986年。今から29年前、38歳のときです。カメラ店でスタートし、ラジオ通販に進出したのが90年、テレビ通販は94年から始めました。以来、私は話し手としてお客様に商品を紹介し続けてきました。

 私も66歳になりました。今でも毎日テレビを通してみなさんにお会いできるのは、日々声を出しているからなのではないかと思っています。なんせ20年以上ずっと声を出し続けていますからね。日々エネルギーを発散しているようなもので、ストレスもたまらない。もしかしたら声を出すことが私の健康の秘訣なのかもしれません。

声を出すとは、前向きな自分をつくること

通販番組内でカラオケ機器を紹介する際には歌声を披露することも。カラオケマイクの実演で100点を出したこともあるとか。
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 ときどき通販番組内でカラオケ機器を紹介しています。私は商品の説明がてら、自らマイクを握り歌声を披露することがあります。この間も番組で「大阪ラプソディー」と「銭形平次」の2曲を歌ったばかりです。私の歌声のおかげではないと思いますが、たくさんのお客様から注文をいただきました。たまにはカラオケを楽しむのもいいですよね。

 思い浮かべてみてください。日常生活の中で声を出す機会は意外と少ないのではないでしょうか。

 私なりに分析すると、声を出すというのは表情をつくること。表情をつくるということは、前向きな自分をつくることにもなると思うのです。声を出している人には前向きな人が多い。実際、落ち込んでいるときには大きな声を出せませんよね。笑顔をつくると幸せな気持ちに自然となるように、声を出して陽気に振る舞うことで、自然とそういう気持ちになる。声や表情が脳をうまくだましてくれているのではないかと想像しています。

声を出さないと、表現力が弱まる!?

 今一番、私が心配しているのは子供たちが声を出さなくなっていることです。スマートフォンでインターネットを見たり、ゲームをしたり。コミュニケーションを取る機会が極端に少ない。コミュニケーションを図る場合でもSNSなどを使う。直接声を出して話をすることが以前に比べ、とても少なくなっていると思うのです。

 声を出さないと、表情も乏しくなるし、表現力も弱くなる。そんなところにITの弊害を感じています。語弊があるかもしれませんが、言葉をしゃべらないのでは動物と一緒です。だから私は社員に「声を出せ」と言っています。声を出すのはとても単純な動作ですが、私には大きな効用があるように思えるのです。

*)次回は、『1年半、会社のエレベーターに乗っていません』 をお届けします(8月5日公開)。ぜひ、ご覧ください。


(まとめ:荻島央江=フリーライター/インタビュー写真: 菅 敏一)

■髙田氏のカラダ資本論
第1回「元気の秘訣は“高音プレゼンテーション”にあり?」
第2回「1年半、会社のエレベーターに乗っていません」
第3回「くよくよ悩んで眠れなかったことはありません」
第4回 「1年以内にスコア90切り、そしてギネス更新へ?」

■その他の経営者のカラダ資本論
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髙田 明(たかた あきら)さん
ジャパネットたかた前社長、A and Live 社長
髙田 明(たかた あきら)さん 1948年、長崎県生まれ。大阪経済大学卒業後、機械製造会社勤務を経て、74年から父親が経営するカメラ店で働く。86年に独立し、カメラ販売の「たかた」を設立。ラジオ通販で手応えをつかみ、通販事業にシフト。94年からテレビ通販にも進出し、事業を大きく伸ばす。99年に現社名に変更。2015年1月に社長を退き、長男の髙田旭人氏が2代目社長に就任した。