ゴルフは歩いてラウンドする根っからのアスリート【川淵三郎さん=日本サッカー協会最高顧問】
第1回 年間50回ラウンド、ゴルフは「人を気遣い」「頭を使う」スポーツ
野地秩嘉=ノンフィクション作家
カートに乗らないでラウンドする
ゴルフでラウンドする時、川淵さんはカートに乗らずに歩く。ただし、真夏の炎天下や、川淵さんとほぼ同じ年の同伴プレーヤーが『カートを使う』と言ったら、我を張らずに一緒にカートに乗るようしている。
「自分1人だけがフェアウェイを歩いて、他の人たちがカートに乗っているのも妙な感じでしょう。健康や身体のことを考えるといっても、意固地になってやるのは精神の健康にも良くない。それに、私の理想は一緒に回った相手のスコアを良くして、しかも自分もより上手になること。ゴルフは基本的には個人競技だけれど、同伴者のことにも気を遣うスポーツじゃないかな。頭を使うスポーツですよ」
78歳、ドライバーの飛距離は240ヤード
川淵さんは一流のゴルファーだ。技術もあり、スコアも大したもので、しかもマナーがいい。
古河電工の営業部長だった頃は名古屋に勤務していた。名門で難コースとしても知られている「名古屋ゴルフ倶楽部和合コース」でシングルプレーヤーになっている。べストスコアは70。78歳になった今でも、スコアは85以下で回ることが多い。90以上を叩くことはめったにない。名門コースの「鷹之台カンツリー倶楽部」(千葉県)でホールインワンを達成したこともある。
私は10回以上、川淵さんと一緒にゴルフをやったことがある。ドライバーの飛距離は240ヤード。年齢を考えれば、あきれるくらい飛ぶ。しかも、アプローチもパットも上手だ。ときに、シャンクしたり、林に打ちこんだりすることもあるが、トラブルショットも得意だから、平然とリカバリーしてくる。
余計なことを考えずプレーに専念できた
2013年12月1日、川淵さんは千葉県にある「ヌーヴェルゴルフ倶楽部」(パー72・6153ヤード)でエージシュートを達成した。エージシュートとは、18ホールを自分の年齢以下の打数で回ること。ゴルフの技術はもとより、健康でなければできない記録である。このとき76歳だった。
- 次ページ
- カートに乗らないでラウンドする