「仕事3割で長く働く」が健康寿命のカギ【ライフネット生命・出口氏】
第4回 「ライフ」の時間を大切に
出口治明=ライフネット生命保険会長兼CEO
一生働けば健康でいられる
仕事に費やす時間は3割程度と言っても、ほどほどに仕事をすればいいという意味ではありません。仕事は人生の3割程度に過ぎないと分かれば、その分思い切った仕事ができるはずです。なにより、仕事をするからには、全力で取り組んだ方が楽しいですから。全力で楽しく仕事をするために、人生における仕事の比重を理解しておくことが大事だということです。
前回お話ししたように、今後、800万人もの労働力が不足することになれば、終身雇用や定年といった戦後の日本特有の特殊な労働環境はなくなっていくはずです。ライフとワークのバランスを理解して、生き生きと仕事ができれば、60代、70代になっても元気に生活することができるでしょう。
人間は、長生きができれば幸せというものでもありません。大切なのは、自分のことは自分でできる、自立して生活できる「健康寿命」を延ばすことです。知人の医師いわく、健康寿命を延ばすためには、働くことが一番だそうです。仕事があれば、朝起きて、服を着替え、ヒゲも剃れば、化粧もする。働くことと健康は、相関するものなのです。
「出口さんはいくつまで働くつもりですか?」と聞かれることがあります。私はそんなことを考えたことがありません。強いて言えば、朝起きて、会社にいくのがしんどいと感じたときが、辞めどきだと思います。仮に引退する時期を考えたとしても、その前に気力も体力もなくなれば、周りに迷惑をかけることになります。人間も動物ですから、できるだけシンプルに考えるのがいいと思いますね。
(まとめ:田村知子=フリーランスエディター)
取材を終えて
この「私のカラダ資本論」の取材を終えたあとは、経営者の健康哲学や健康習慣に触れて刺激を受ける一方で、落ち込むような気持ちになることもある。自分には無理だなと考えたり、何かを始めてみても長続きしなかったりするからだ。
ところが、どんな質問を投げかけても、ユーモアを交えながらひょうひょうと答える“出口節”を聞いたあとは、温泉から上がったときのような、ほっこりとした心地よさに包まれた。健康で、このような仕事にも恵まれ、時には愚痴をこぼせる友人やパートナーがいることを、改めて幸せなことだと思えた。(田)
ライフネット生命保険会長兼CEO

■出口会長のカラダ資本論
第1回 人生を無駄にして病を引き起こす3つの心持ち
第2回 若い人との交流で刺激を受ける
第3回 置かれた場所で咲けなければ、咲ける場所を探す
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