「仕事3割で長く働く」が健康寿命のカギ【ライフネット生命・出口氏】
第4回 「ライフ」の時間を大切に
出口治明=ライフネット生命保険会長兼CEO
一流人が実践する健康マネジメント術を紹介するコラム、ライフネット生命保険・出口治明会長兼CEO(68歳)の最終回は、前回「置かれた場所で咲けなければ、咲ける場所を探す」に引き続き「仕事と健康」について。「仕事は人生の3割に過ぎないことを理解した上で、長く働き続けることが、健康寿命を延ばす秘訣」という持論について詳しく伺った。
ライフとワークのバランスを認識して
人間が健康で幸せに生きるためには、ライフとワークのバランスをしっかりと認識していることが重要です。
1日は24時間、1年は365日ありますから、1年で考えると8760時間あります。このうち、日本人の平均的な労働時間は1728時間(OECD調べ)と言われています。残業の多い企業では2000時間超といったところでしょう。こうした実質的な労働時間だけでなく、通勤や勉強といった関連する時間を合わせたとしても、仕事の占める割合は、3割程度に過ぎません。
この事実を客観的に見ることができれば、人間にとっては「ライフ」、つまり、食べて、寝て、遊ぶ時間をともに過ごす友人やパートナー、家族の存在が何より大切だということが分かるはずです。極論すれば、仕事は人生の3割程度に過ぎないのだから、たとえ問題が起こったとしても、取るに足らないことだと思えばいいのです。
ライフとワークのバランスを認識せずに、「自分にとっては仕事がすべてだ」と錯覚すれば、「置かれた場所で咲かなければいけない」と考えて、自分を追い込み、心身に不調を来していくことになるのです。そうした本質的なことを考えずに、健康にいいと言われることを実践しても、枝葉末節だと思います。
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