大事な局面では坐禅で心身を調える【ユーグレナ 出雲社長】
第3回 オープンイノベーションで人と地球を健康に
出雲充=ユーグレナ
様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム。今月は藻類の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)の活用を軸にヘルスケア事業や環境・エネルギー事業などを展開している、ユーグレナの出雲 充社長にお話を伺った。最終回は、「型」の大切さを学んだ坐禅や、「人と地球を健康にする」という大きな夢への取り組みについて語ってもらった。
前回、自分なりの「型」を持つことを大切にしているとお話ししましたが、それは坐禅から学びました。坐禅では「調身・調息・調心(ちょうしん・ちょうそく・ちょうしん)」を基本とします。まず、姿勢を正して体を調える。次に、呼吸に集中して息を調える。すると、次第に雑念が払われ、心が調う。この型がとても大切なんですね。

私は2人の師に坐禅を教えていただいています。1人は、山岡鉄舟ゆかりの寺として知られる上野・谷中の臨済宗全生庵の住職、平井正修さん。もう1人は、京都の臨済宗妙心寺退蔵院の副住職、松山大耕さんです。
突発的に意思決定を求められるようなときには、調身・調息・調心の型を実践して、気持ちを静めてから考えるようにしています。また、決算期の9月末や株主総会のある12月、年度末の3月など節目となる大事な時期には、平常心で迎えられるよう、全生庵か退蔵院のいずれかを訪れて坐禅を組み、心身を調えるようにしています。これも、私が大切にしている「型」の1つですね。
2020年にミドリムシで飛行機を飛ばす
ユーグレナの経営理念は「人と地球を健康にする」ですが、私自身も「人を健康にする」「地球を健康にする」という2つの大きな夢を実現したいと思っています。あまりにも大きな夢で、実現はできないのでは? と思う方のほうが多いかもしれません。でも、私はここでも1つの型を持って、実行していきたいと思っています。それは、2つのステップを踏むやり方です。
私たちのようなベンチャー企業の役割は、ゼロから1を生み出すこと。そして、その1のバトンを受け取って100に展開するのは、大手企業や国の役割だと考えています。この役割がうまく機能していないと、革新的なイノーべションは生まれません。私は「人を健康にする」「地球を健康にする」ことにおいて、大手企業や国が「それは面白いからぜひ100に展開しよう!」と思うようなゼロイチを創りたいし、創れると思っています。
現時点で実現に近づいているのは、「地球を健康にする」という夢のほうです。CO2の削減とエネルギー問題の解決に寄与するミドリムシを原料としたバイオ燃料で、飛行機を飛ばします。まだゼロの段階ですが、2020年には必ず飛ばして、ゼロイチを実現します。今はミドリムシのジェット燃料は、1リットル当たり1万円のコストがかかります。そんなに高いの? と皆さん驚かれますが、ゼロイチの段階ではどうしてもコストはかかります。ただ、1回でも飛べば、そのあとは多くの方に支援していただいて、オープンイノベーションで推進していけば、2025年には1リットル当たり100円にできる道筋が見えています。

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