日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

海外出張時は2日前から時差対策【ユーグレナ 出雲社長】

第2回 自分なりの「型」を持つ工夫

 出雲充=ユーグレナ

様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム。今月は藻類の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)の活用を軸にヘルスケア事業や環境・エネルギー事業などを展開している、ユーグレナの出雲社長にお話を伺った。第2回は、海外出張の多い出雲社長が実践している時差対策、ストレスの軽減やモチベーションを維持するための工夫などについて紹介する。

 ユーグレナを創業したきっかけは、大学1年生のときにインターンシップで訪れたバングラデシュで直面した過酷な現実でした。世界一貧しい国といわれるバングラデシュでは、多くの子どもたちが栄養失調で健康に問題を抱えていました。そんな子どもたちを救うために、食料問題を解決したい。その強い思いから解決策を模索するうち、動物と植物の性質をあわせ持つ藻類の一種、ミドリムシを知り、研究を続けたのです。

 バングラデシュには2013年に拠点を設け、2014年には市内の小学校にユーグレナ入りのクッキーを配布する「ユーグレナGENKIプログラム」をスタート。また、バングラデシュ人で初めてノーベル平和賞を受賞されたムハマド・ユヌス博士が率いるグラミングループと共同でグラミンユーグレナを設立し、もやしの原料となる緑豆の栽培や販売を通じて、バングラデシュと日本両国の農業支援や暮らしを改善する「緑豆プロジェクト」などにも取り組んでいます。ですから、バングラデシュに訪れる機会が多くあります。

 そのほかにも、例えば、1月には世界経済フォーラム(ダボス会議)でスイスへ、3月には投資家が集まる大きな会合のため欧州へ、9月には国連総会で米国ニューヨークへ。10月には中東・アジアで開催される国際会議に出席することが多いですね。

 海外出張の機会が多い方は、それぞれに時差対策をお持ちかと思いますが、私の場合は出張の2日前から、現地の時間に合わせて行動するようにしています。海外ではいつも以上に予定が立てこみ忙しくなりますから、到着後すぐに活動できるよう事前に備えるのです。

睡眠を助けるサプリも活用

サプリ「euglena 7days」

 通常は時計の時刻を日本時間にしていますが、出張の2日前には現地の時間と日本時間を表示して、現地の時間に合わせて睡眠や食事を取るようにします。例えば、米国など東へ行く場合は、就寝と起床時間を早寝・早起きにする。欧州など西へ行く場合は逆に、夜更かしをして、起床時間も遅らせます。

 それでも睡眠のコントロールが難しいときには、サプリメントで調整しています。ユーグレナには睡眠を助けるサプリ「euglena 7days 出張旅行」がありまして(笑)。有効成分にはユーグレナとテアニンが含まれています。テアニンは緑茶などに含まれるアミノ酸の一種で、睡眠の質の向上やリラックス作用が期待できます。私は寝つきや目覚めが良くなる実感がありますね。時差で眠りのリズムが崩れがちな人におすすめです。

香りと音楽で心地よい眠りに

 普段の生活でも、睡眠は大切にしています。春・夏は5時間30分から6時間、秋・冬は風邪やインフルエンザ予防のために6時間から6時間30分は眠ります。就寝時には1年を通じてエアコンは使いません。それでも冬は乾燥しがちなので、寝室の湿度は少なくても50%以上、理想的には60%に保つようにしています。

 夏にエアコンを使わないのは寝苦しいのでは思われるかもしれませんが、昼間はどこへ行ってもエアコンが効いていて体が冷えるくらいですし、夕方からの自然な涼しさが好きなんです。前回にお話ししたリラックスできる香りを楽しみながら、水のせせらぎや鳥のさえずりなど自然の音を使った音楽を流していると、気持ちよく眠りにつけますね。

型通りの習慣が活力を生む

 時差対策にも普段の睡眠にもいえることですが、こうすると仕事がうまくいく、心地よくなれるといった自分なりの「型」を持つことも大事にしていることの1つです。Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは、重要な意思決定にエネルギーを集中するために、仕事以外での決断はできるだけ少なくしたいという理由から、毎日同じTシャツを着ています。私もネクタイは“ミドリムシ色”のグリーンと決めていて、悩むことはありません。また、大切なお客様との会食も、いつも決まって、滋味深くおいしい野菜と鴨鍋がいただける店を選びます。

 忙しい毎日ではいつも時間に追われていて、急に意思決定を求められることもあります。それでも、ブレない型通りの習慣を持っていると気持ちに余裕が生まれ、突発的なことが起こっても慌てずに対処することができます。

バングラデシュで購入したTシャツ。自宅クローゼットの目立つところにいつも置いているという。

 冒頭で、バングラデシュを訪れたことが創業のきっかけだったとお話ししましたが、その当時の思いに立ち返り、「人と地球を健康にする」というミッションを常に心に留めるために、自宅のクローゼットの目立つところには、バングラデシュで購入したTシャツが置いてあります。仕事でどんなに疲れていても、着替えのたびにこのTシャツを目にすると、バングラデシュでの様々な出来事が走馬灯のように思い出されて、頑張ろうという前向きな気持ちになれるのです。私にとっては、モチベーションや活力の源となるお守りのようなものですね。

(「第3回」に続く)

私の「カラダ資本論」【ユーグレナ 出雲社長】

第1回 最も注目すべきは「歯の健康」

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)

出雲 充(いずも みつる)さん
ユーグレナ社長CEO(最高経営責任者)
出雲 充(いずも みつる)さん 1980年広島県生まれ。東京大学農学部卒業後、2002年東京三菱銀行入行。2005年8月ユーグレナを創業。同年12月に食料・環境問題の解決に向けて、微細藻類「ユーグレナ(和名:ミドリムシ)」の屋外大量培養に世界で初めて成功。現在は「バイオマスの5F」の考えに則り、「Food(食料)」「Fiber(繊維)」「Feed(飼料)」「Fertilizer(肥料)」「Fuel(燃料)」の5つの分野でユーグレナを活用した研究開発、事業展開を進めている。2012年中小企業基盤整備機構 Japan Venture Awards 「経済産業大臣賞」受賞、世界経済フォーラム(ダボス会議)「Young Global Leader」選出、2015年第1回日本ベンチャー大賞「内閣総理大臣賞」受賞など、その企業活動は国内外で注目・評価されている。