日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

健康にはゴルフと読書。趣味も「マンダラチャート」で真剣に

リーダーシップコンサルティング岩田社長 第3回

 岩田 松雄=リーダーシップコンサルティング社長

 様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今月ご登場いただいたのは、元スターバックス コーヒー ジャパンCEOで、リーダーシップコンサルティング社長の岩田松雄氏。最終回はストレスマネジメントに役立っているという、ゴルフと読書の楽しみについて紹介する。

 前回のコラムでは、運動とストレス発散のために、ゴルフを習慣にしていると話しました。ゴルフを覚えた当時は子どもがまだ小さかったので、「ゴルフに行く」と言うと、妻はあまりいい顔をしませんでした。そこで、スーツを着て仕事に行くふりをして、ゴルフに出かけたこともあります(笑)。今ではもう、快く送り出してくれますけどね。

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 ゴルフは現在、2つの楽しみ方をしています。1つは、気のおけない仲間同士、遊ぶ感覚でのプレーです。こちらはみんなでワイワイ言いながらコースを回ります。誰かがミスをすると盛り上がったり、勝った人が帰りに何かごちそうするルールになっているので、コンビニに寄ってアイスを食べたりと、まるで子どものように仲間と楽しみますね(笑)。

 もう1つは、お互いに切磋琢磨して競い合う、スポーツとしてのゴルフです。こちらでは「ナイスショット!」「ドンマイドンマイ!」などの声を掛け合い、途中にはゴルフ以外の無駄な雑談はほとんどしません。新しいクラブの話やラウンド後の反省会など、上達のために真剣に励まし合っています。

 ゴルフのおかげで公私のメリハリがつき、効果的なストレス発散になっています。

マンダラチャートでシングルプレーヤーを目指す

 遊び感覚のゴルフと、スポーツとしてのゴルフ、どちらもとても楽しいのですが、最近少し時間ができてきたので、これからは競技ゴルフのほうに力を入れたいと思っています。年始にシングルになる目標を立てて、それを実現するために「マンダラチャート」を作成しました。マンダラチャートは、ロサンゼルス・エンゼルスに入団を果たした、大谷翔平選手が高校時代に活用していた目標達成シートとして話題になったものです。

 まず、3×3のマス目を9つ集めた9×9のマス目の中央に、実現したい目標を記入します。次に、その周囲の8つのマス目に、目標達成に必要な要素を考えて書き込みます。さらに、その8つの要素を、周囲の3×3のマス目の中央に書き写し、それを実現するために必要な要素を周囲の8つのマス目に書いていきます。つまり、最も中央に記入した目標を達成するための具体的な方法が、マンダラのように放射状に広がっていくわけですね。

 大谷選手の場合は、最も中央に「ドラ1 8球団」、その左右には「メンタル」「スピード160km/h」、上下には「コントロール」「運」と記入していたそうです。さらに、「運」を中央にしたマス目の周囲には、「あいさつ」「部屋そうじ」「プラス思考」「本を読む」といった要素が書き込まれていました。

 私は最も中央に「ゴルフ ハンデ8」と記入。その周囲には「ドライバー」「コースマネジメント」といった要素を書き入れました。現在のハンディキャップは10 ですが、このマンダラチャートを活用して、今年中に8になって、シングルの目標を達成したいと思っています。こうして目標を持ち、趣味も真剣にやってこそ楽しいのだと思います。

読書で琴線に触れた言葉を書き留める

 心身の健康に役立っているのは、アウトドアならゴルフで、インドアでは読書です。私は毎晩、最低でも1~2時間は本を読むのを習慣にしています。「徳」と「才」をバランスよく高めるように読書をしています

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 「徳」の本とは、人としてどうあるべきかを書いたものです。「才」の本とは、リーダーシップやマネジメントなどのビジネススキルを書いたものを指します。若い頃は基本的な仕事の能力・才が大切ですが、年をとって地位が上れば上がるほど「徳」の部分が大切になってくると思います。

 「徳」を高める本は東洋古典や哲学、歴史書、文学など、そして自己啓発書の類も入ってきます。「才」を高める本はピーター・ドラッカーやビジネススクールの教科書のようなビジネス書が中心です。どちらも並行して読むことが多いですが、特に安岡正篤先生の著書など「徳」を高めてくれる本は、小さなことで悩んでいる自分に「喝」を入れてくれたり、迷っているときの大きなヒントになったりします。私にとっては、精神安定剤のようなものですね。そして、良い本は何度も読み返します。

 読書をする中で琴線に触れる言葉に出会うと、ノートに書き写すことも習慣になっています。と言うよりは、書き写さずにはいられないという感じです。そのために、お気に入りの万年筆とノートを用意していて、心に残った言葉、名言などを折に触れ記しています。素敵な言葉を書き写していると、写経のような効果があるのか、気持ちが鎮まっていきます。ジャンルは問わず、Mr.Children(ミスターチルドレン)や松任谷由実の歌詞などを書き写すこともあります。

 疲れたり落ち込んだりしたときに、その言葉を書き溜めたノートを手に取り、パラパラとめくってみると、不思議なことに、そのときに必要な言葉が必ず見つかります。今はそうした言葉を、毎日発信しているメールマガジンやフェイスブックでも紹介しています。

心身の健康あってこそ素晴らしい人生に

 先日、ある大手企業の選抜された管理職を対象に「幹部職員研修」を実施したのですが、ちょっと驚いたことがありました。この研修の総括の時間には、受講者全員に今後の決意を表明してもらっています。そこである参加者が、「研修はとても刺激になりました。私は今後、毎月1冊はビジネス書を読んで勉強します」と発表したのです。

 毎月5冊とか毎週1冊ならまだしも、毎月1冊とは…。私はその場で思わず、「大手企業の選ばれし管理職が、ビジネス書を月に1冊も読んでいないなんて情けない!」と厳しいコメントをしました。有名大学を出て、難関をくぐり抜けて入社した優秀な人が、20年30年たつと全く「ただの人」になってしまっている。人事の担当役員に「選抜方法を見直したほうがよいのでは」と苦言を呈してしまいました。

 1日に数十分でも1時間でも、心を落ち着かせて本を読む時間を作って、ぜひ「徳」や「才」を高める努力をしてほしいと思います。そのためにも、飲み会、特に2次会などはほどほどにして、規律ある生活を送ることが大切だと思います。

 私の座右の銘は、激動の幕末に活躍した高杉晋作の辞世の句「おもしろき こともなき世を おもしろく」。もう1つは、『かもめのジョナサン』の著者として知られるリチャード・バックの「たいへんだったが、しかしすばらしかったといえる人生を送りたい」です。人生を面白いもの、素晴らしいものにしていくのは、結局、自分自身なんですよね。波瀾(はらん)万丈の楽しい人生を送るには、心身の健康あってこそだと思います。

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)

岩田松雄(いわた まつお)さん
リーダーシップコンサルティング 社長
岩田松雄(いわた まつお)さん 1958年生まれ。大阪大学経済学部卒業後、日産自動車入社。製造現場、営業、財務などを幅広く経験し、UCLAアンダーソンスクールに留学。外資系コンサルティング会社の日本コカ・コーラビバレッジサービス常務などを経て、2000年ゲーム会社のアトラス社長、2005年「ザ・ボディショップ」を運営するイオンフォレスト社長に就任。2009年スターバックス コーヒー ジャパンCEOに就任し、「100年後も光り輝くブランド」を掲げて業績を向上、2010年度には過去最高売上を達成した。2010年UCLAビジネススクールより全卒業生3万7000人から「100 Inspirational Alumni」に選出される(日本人は4名)。2011年リーダーシップコンサルティングを設立し、現在は次世代のリーダー育成に注力している。『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』(サンマーク)、『ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由』(アスコム)、『いつ、どこでも求められる人』の仕事の流儀』(三笠書房)など著書多数。
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