飛行機の中での映画と睡眠が「脳の健康」を保つ【秦アンディ英之氏】
第1回 新しいことを見るけるアンテナ感度の上げ方
秦アンディ英之=ONE Championship
様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム。今月は2019年3月に日本に上陸した格闘技団体、ONE championship(ワン・チャンピオンシップ)日本代表取締役社長の秦アンディ英之氏に話を伺っていく。学生時代は明治大学のアメリカンフットボール部、明治大学グリフィンズ副主将兼主務を務め、東西学生オールスターなどにも選出された。卒業後は母校のコーチを1年間務めながら、1997年から社会人チーム、アサヒビールシルバースターに入団し、社会人選手権と、学生チャンピオンと対決して日本一を決めるライスボウルを制するなど、輝かしい業績を残してきた元アスリートだ。そんな秦さんの基本的な健康管理とはどんなものだろうか。

思考を仕事から切り離すことを心がける
私の健康管理の基本を大きく言うと、睡眠と食にあります。まず、睡眠はきちんと強弱をつけて取るということです。寝るときはしっかりと、ガッツリと眠る。昔の根性論のように、徹夜で仕事を頑張るということはしません。定期的な睡眠はしっかり、平均的には5~6時間は取るようにしています。
そうは言っても、実は今の仕事は、まあ、以前もそうだったんですが、主に海外で試合があるので、移動や時差の関係で不規則になることもあります。その場合、飛行機に乗ったら、前半の時間は普段あまり見ることができない映画などを鑑賞して、残りはしっかり眠るようにしているんです。昔からそうなんですが、よほど立て込んだ仕事がない限りは、移動では“気持ちを切り替える”ことを心がけているんです。
世の中が便利になった裏返しに、24時間仕事がつながってしまうということがあります。どこかで気持ちを切り替えて仕事から離れる時間がないと、きっと精神的にきつくなってしまうと思うんです。
それを実感したのが、ソニー時代のちょうど2007~12年にサッカーW杯の仕事に携わっていた頃です。当時ソニーが契約していたW杯が、日本から最も遠いと言われている南アフリカ大会(10年)とブラジル大会(14年)でした。片道17~24時間かかる場所で、かつ、サッカーは世界中でプレイされている分、出張先が本当に世界中にあったんです。FIFA(国際サッカー連盟)の本部はチューリッヒですし、ソニーもグローバルビジネスを展開していたので、東京でミーティングあった後、次はロサンゼルスで会議、そしてパリやロンドンというようなことを一年中繰り返していました。
その後はニールセンに入ったんですが、そこでも同じようなことをやっていたんです。その時には無理をする自分が蓄積されていたんでしょうね。実は2年前に腸閉塞をやってしまったんです。機内で発症して、羽田についた途端に緊急搬送されて入院、そして手術…。
新しいことを実行するためアンテナ感度を上げる
それこそ、まあ、今もそうですが、365日休みがなかったんです。ですから、当時から飛行機の中くらいはゆっくりしたいと思っていたんですが、体にかなり負担がかかっていたんでしょうね。それから以前よりもさらに、体を気遣うように健康意識を切り替えたんです。
そのために一つやっているのが、先ほども言った、飛行機の中で映画などの映像作品を観ることなんです。これは“知らない世界をいかに知るか”ということを心がけて観ています。私たちの会社の役員会では、この本を読んで来なさいとか、この映像作品を観なさいという課題が出ることがあります。
先日は、Netflixで配信されたドキュメンタリー映画『グレート・ハック:SNS史上最悪のスキャンダル』という作品を観なさいという課題が出ました。これはイギリスのEU離脱やアメリカ大統領選に絡んだ作品でしたが、私が全く知らない分野でしたから、非常に刺激になりました。また別の時には、マクドナルドの創業から発展がどんなものだったかをテーマにした作品を観ました。過去の事例も日々の経営とか運営の参考になることがあります。傾向としては、実話をもとにした映画を観ることが多いですね。
