私が60歳目前で運動を始めたワケ【ベネッセ原田氏】
第1回 59歳で起こったショックな出来事が転機に
原田泳幸=ベネッセホールディングス会長兼社長
仕事においては、やはりカラダが資本。多忙な中でも最高のパフォーマンスを発揮し続けるには、日ごろからの健康管理が欠かせない。一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム、今月はベネッセホールディングス会長兼社長の原田泳幸氏(67歳)にご登場いただく。先日の東京マラソンにも出場した原田氏は、60歳目前で一念発起して運動を始めたという。その理由とは?
このコラムのタイトルは「私の『カラダ資本論』」だそうですが、ハードな仕事をこなす経営者にとって、健康な身体はまさに資本です。私は40年以上、グローバル企業で働いてきましたが、そうした企業のトップのライフスタイルを見ると、常に世界中を飛び回る多忙な生活の中でも、共通してスポーツをする習慣があったのが印象的でした。
私も若い頃はテニスや水泳、ゴルフなどの運動をずっとやってきて、体力や健康には自信を持っていました。ところが、59歳のときのある日、その自信を揺るがす出来事が起こりました。
あれは忘れもしない、2008年7月18日のこと。同じ59歳のプライベートの仲間と一緒にゴルフに出かけたのですが、私だけがハーフを回ったところで歩けなくなり、ギブアップしてしまったのです。そんな経験は初めてで、とてもショックを受けました。ちょうどその直前に人間ドックの結果が出て、脂肪肝を指摘されていたこともあり、二重のショックで「これはもう、運動をするしかない!」と決意しました。
夏の暑い日で体力を消耗していたこともあると思いますが、当時は体重が80kgもあり、それもよくなかったと思います。97年にアップルジャパンの社長になって以降仕事はそれまで以上に多忙になり、運動をする時間がなくなり、ゴルフの回数も減っていきました。その頃から徐々に太ってしまっていたんですね。
私は「やる」と決めたら、徹底してやる性分です。それまでにもゴルフを始めた1年間は1日も休まずに、雨の日も雪の日も必ず練習場に行って、1日最低400発は打っていました。肋骨を疲労骨折しても休まずに(笑)。59歳で「運動をする!」と決意した時も、1年365日、1日も休まないと決めて、翌朝から歩き始めました。