日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

社員の「幸せ≒健康」を徹底追求【ベンチャーバンク 佐伯信行社長兼CEO】

第3回 幸せは健康と密接に関わるもの

 佐伯信行=ベンチャーバンク

様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム。今月は「健康寿命の延伸」をコンセプトに掲げた事業を多数創出しているベンチャーバンクの佐伯信行社長兼CEOにお話を伺った。最終回は、自社を「幸せインキュベーション企業」と称し、従業員の「幸せ≒健康」を追求しているという健康経営の取り組みについて紹介する。

年に1度、幸福度調査を実施

 前回、ベンチャーバンクでは「自分自身と、関わる全ての人を幸せにしよう」というグループ理念のもとに、自分を支えてくれている人に感謝を伝えることを大切にしているとお話ししました。そのために、年末年始の休暇を長く設定しているほかに、年に1回、任意で参加できる「感謝プロジェクト」という制度を設けています。

 これは、これまで自分を支えてくれた、現在も支えてくれている家族に感謝を伝える機会を作ってもらうための施策です。例えば、「お母さんの誕生日に、家族で食事に行こうと思います」「家族旅行に出かけます」「お墓参りに行ってきます」などと宣言をして、後日にその様子のレポートを写真と共に提出すれば、3万円が支給されます。提出されたレポートは社内SNSで共有し、感謝の輪を広めています。

 また、年に1回、全社員に「幸福度調査」を実施しています。この調査は、幸福・健康・満足などにまつわる60以上の設問から、社員の幸福度を総合的に評価するものです。2018年度の調査では、幸福だと感じている社員は85%でした。2017年度の調査では75%だったので、10%向上したことになりますが、経営陣にしてみると、満足のいく数字ではありません。その要因を探るために、喪失感の高い項目は何かなどデータを取って、幸福度を高めるためにもっとできることはないか、月1度の役員会などで議論を重ねています。

就業時間中に運動を推奨

 ベンチャーバンクでは「幸せ≒健康」と定義していることから、社員の健康保持・増進のためのさまざまな施策を実施してきました。感謝プロジェクトや幸福度調査もその一環です。 2018年からは「CHO(Chief Happiness-Incubation Officer)室」を設置して、その取り組みを戦略的に推進していく体制を整えました。CHO室長は、私が自ら務めています。

 CHO室を立ち上げてから実施している特徴的な施策の1つに「Cheer-Up(チアアップ)制度」があります。これは社員の運動機会の創出を目的としたもので、「ホットヨガスタジオLAVA(ラヴァ)」「jump one(ジャンプワン)」など、ベンチャーバンクグループが運営するブランドのサービスを、就業時間中に年4回まで無料で利用できる制度です。この制度で自分に合ったサービスを見つけたあとは、社員割引制度を利用して継続して通うことができます。この制度は、運動を習慣づけることを推奨しても、仕事のあとは疲れてしまってなかなか難しい。就業時間内にサービスを利用できたらいいという社員の声を生かしました。

 また、ランチタイムに月に1度、任意で参加できるヘルシーランチ付きのセミナーを実施しています。「健康情報局セミナー」では食・運動・休息などのテーマが、「メディカルサポートセミナー」ではがんに関する知識が学べます。

 本社の青山オフィスには、グループ会社が運営するカフェ「FEEL & FOODS(フィール・アンド・フーズ)」があり、社員証を提示すれば半額で利用できます。このカフェの食材はすべて有機栽培で、化学調味料や食品添加物は不使用のメニューとなっていて、動物性の食材は使用しないヴィーガン対応のものもあります。私もランチでよく利用しています。

事業拡大はあくまで結果

 ベンチャーバンクが社員の幸せと健康を追求しているのは、社員の幸せと健康が具現化できれば、その社員が生み出すブランドやサービスは必ず世の中に受け入れられ、結果として、お客様の幸せと健康に寄与できると考えているからです。

 ベンチャーバンクはこれまで20以上のブランドやサービスを創出してきましたが、必ずしも事業拡大を目的とはしていません。あくまでも、社員の幸せが根幹にあって、その実現に向けた愚直な取り組みが、事業の創出につながっています。今年中に、全く新しい2つの事業をローンチする予定があり、今からワクワクしています。

 現在は一定基準に成長したブランドを分社化し、5つのグループ会社となっています。それは各々が託された事業に特化することで、その強みを更なる成長につなげてもらおうという目的です。ベンチャーバンクはこれからも、社員の幸せと健康を第一義とする「幸せインキュベーションカンパニー」であり続けます。

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)

佐伯信行(さえき のぶゆき)さん
ベンチャーバンク社長兼CEO(最高経営責任者)
佐伯信行(さえき のぶゆき)さん 1970年東京生まれ。大学卒業後、電気事業の営業から、東証一部上場の流通・小売企業へ転身。取締役として複合商業施設のプロデュース・運営管理を行い、M&A先にて専務執行役員として事業再生や新規事業開発を経験。その後、携帯電話販売代理店の人事部長に転じ、採用や人事制度設計など組織開発を担う。2014年9月ベンチャーバンクにネットカフェ事業部の部長として入社。執行役員を経て、2016年2月から現職。グループ会社ソーエキサイトの社長も兼任。