日経グッデイ

私の「カラダ資本論」

社長就任で一念発起、10kg以上の減量に成功【ベンチャーバンク 佐伯信行社長兼CEO】

第1回 会食は焼き鳥店でカロリーを抑える

 佐伯信行=ベンチャーバンク

様々な分野で活躍する一流人が実践する健康マネジメント術を紹介する本コラム。今月はベンチャーバンクの佐伯信行社長兼CEOにお話を伺っていく。ベンチャーバンクはホットヨガスタジオや暗闇バイクエクササイズなど、数々の新規事業を創出してきたインキュベーションカンパニーだ。そんな同社を率いる佐伯社長は、自身の健康をどのように管理しているのか。第1回は、心身の健康につながるという「心理的力量」の考えや、社長就任を機に改善した健康習慣について聞いた。

「心理的力量」を意識し、モチベーションを高める

 ベンチャーバンクは日本最大級のヨガスタジオ「ホットヨガスタジオLAVA(ラヴァ)」、暗闇エクササイズの火付け役となった「FEELCYCLE(フィールサイクル)」、日本初のトランポリンフィットネス「jump one(ジャンプワン)」など、「美と健康」に特化した様々な事業を生み出してきました。

 2018年には法人向けの健康経営支援事業「MOMENTUM(モメンタム)」を発表。「健康で前向きに働ける企業文化」の醸成と企業の持続的成長の実現を目指し、従業員が健康の重要性を自覚できる体験型の健康セミナーや、ベンチャーグループが展開するフィットネスプログラムを就業時間中に受講できるサービスなどを提供しています。

 MOMENTUMのローンチに当たってはポジティブ心理学を学び、モチベーションの高い状態を維持することが、心身の健康につながることを再確認しました。

 モチベーションを維持するためには、「心理的力量」を高めることが重要です。心理的力量とは、「こうありたい」という目標に自律的かつ前向きに向かおうとする力のことで、「Hope(希望)」「Efficacy(自信/自己効力感)」「Resilience(回復力)」「Optimism(楽観)」の4つの要素で成り立っています。

 心理的力量は心身の健康だけでなく、仕事で高いパフォーマンスを発揮する上でも重要なものです。私は常に自分の心理的力量を意識して、不足している要素があれば、それを満たす方法を考え、実践するようにしています。

ポジティブに転じる言葉で自己暗示

 例えば、困難な状況にあるときは「今、すごくヤバイぞ」などと言葉にして言います。「ヤバイ」と言葉にしてまずい状況であることを認めると、「そんな状況にあっても生きている自分って結構スゴイぞ」ということに気づきます。そうして自己暗示にかけることで、自分の心理的力量を上げていくんですね。すると、自分の力だけではどうにもならないから、誰かに相談してみよう。相談するなら誰が最適だろう?」と自ら考え、行動につなげることができます。そして、相談者の協力を得て状況が進展したときには、「ヤバイ、協力してもらったおかげでなんとかなったぞ、スゴイな」と、「ヤバイ」という言葉がポジティブな意味合いに変わるんです。

 思い返せば、流通・小売企業で複合商業施設のプロデュースや運営管理、事業再生や新規事業開発といった業務に従事していた30代にも、「ヤバイ」「スゴイ」が口ぐせになっていました。当時は仕事を終えるのが明け方になり、帰宅しても8時には出社するような生活を送っていて、「この状態はヤバイ!」「この状態でも生きてる、ヤバイ! スゴイ!」とよく言っていました。そうすることで、自分のモチベーションを維持・向上させていたのでしょうね。

 私の場合は「ヤバイ」「スゴイ」といった言葉ですが、自分を鼓舞する口ぐせを持つことは、心身の健康につながる心理的力量を高めるのに有効な方法の1つだと思います。

ヨガの呼吸法で心身を鎮める

 ベンチャーバンクには2014年に入社しましたが、当時は今より10kg以上太っていました。2016年に社長に就任することになり、「美と健康」の領域で事業を展開している企業の代表が太っていては示しがつかないと一念発起し、健康管理に気を配るようになりました。

 まず取り組んだのが、それまで全くしてこなかった運動です。最初はベンチャーバンクが運営しているEMSワークアウト「Evolv(エヴォルヴ)」に通いました。EMSは「Electric Muscle Stimulation」の略で、電気の刺激によって直接筋肉を動かすシステムです。元々はリハビリテーションなどで使われていた技術ですが、アスリートがトレーニングに応用したことで注目を集めました。EMSを活用した専用のボディスーツを着用してトレーニングを行うことで、着用しない場合と比べて約3倍の運動効果が見込め、効率よく筋肉を鍛えることが期待できます。私の場合は、2カ月間で11kgの減量に成功。当時はきつくて着れなかったこのジャケットも、着こなせるようになりました。

 その後はヨガも始めました。「全米ヨガアライアンス」という国際的な資格を取得できる当社のスクール「FIRSTSHIP(ファーストシップ)」のインストラクターに師事して、アーサナ(ヨガのポーズ)や呼吸法、瞑想などを学んでいます。

 ヨガは自分がいきいきと生きていくためのツールとして実践しています。例えば、疲れた体をリセットしたいときや、雑念を払いたいときなどは、呼吸法や瞑想を行うと、睡眠の質や集中力を高めることができます。

 誰にでも簡単にできる呼吸法は、鼻から4秒で空気を吸って、1秒止めたあと、6秒かけて鼻から吐く。これを何回か繰り返します。秒数に正解はなく、自身が心地よいと思うペースで行ってください。私は座った状態で行うことが多いですが、自分がリラックスできれば、仰向けで寝た状態でも、イスに腰掛けた状態でも構いません。鼻での深い呼吸を繰り返していくと、「スーッ」という呼吸の音に集中して、自分の中心に入っていくような感覚になっていきます。心身の健康のためには、時折、こうした自分を取り戻す時間を持つことも大切だと思いますね。

会食は焼き鳥店を選ぶ

 お酒は今でも飲みますが、ワインや日本酒といった醸造酒はほとんど飲まなくなりました。ビールも乾杯程度で、焼酎の緑茶割りをよく飲みます。

 夜はどうしても会食が多くなるので、自分で店を選べる場合は、なるべく焼き鳥の店にしています。焼き鳥店なら、自分の好きなものを好きな分量だけ選べるので、余計なものを食べなくて済むんですよね。例えば、鶏胸肉の串に、トマトなどの野菜の串、それにヤマイモの千切りをといった具合です。

 同席される方たちは、皆さん肉を中心に食べていて、「こういう会食もたまにはいいですね」と言って付き合ってくださるのですが、毎回になると嫌がられてしまいますね(笑)。

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/写真:村田わかな)

佐伯信行(さえき のぶゆき)さん
ベンチャーバンク社長兼CEO(最高経営責任者)
佐伯信行(さえき のぶゆき)さん 1970年東京生まれ。大学卒業後、電気事業の営業から、東証一部上場の流通・小売企業へ転身。取締役として複合商業施設のプロデュース・運営管理を行い、M&A先にて専務執行役員として事業再生や新規事業開発を経験。その後、携帯電話販売代理店の人事部長に転じ、採用や人事制度設計など組織開発を担う。2014年9月ベンチャーバンクにネットカフェ事業部の部長として入社。執行役員を経て、2016年2月から現職。グループ会社ソーエキサイトの社長も兼任。