スキーの滑走日数は年間65日が目標【星野リゾート・星野氏】
第4回 冬の出張は雪のあるところを中心に
星野佳路=星野リゾート代表
旅を通じて、スキーを楽しむ
一番の醍醐味は、旅とひもづいていることですね。例えばテニスは東京でもできて、どのコートでもさほど大きな違いはありません。でも、スキーは仲間と山へ出かける楽しみがあり、行く山によって景色も、斜面も、雪質も違います。その地域の文化や食べ物、お酒も違う魅力がある。美味しいものを囲んで仲間と語らう時間もいいですよね。
星野リゾートにはスキー部があり、1年に1度は誰でも参加できる大きな合宿を企画しています。この合宿は、私がアシスタントと一緒に主宰。場所や日程、スケジュールをアレンジして、貸切にできるペンションなどの宿泊先を確保したら、一人当たりの参加費用を決定。足りない分は私が補填し、美味しいものが食べられるように食材を持ち込む交渉などもします。顧客満足度を高めないといけませんからね(笑)。前回の合宿には、全国の施設から延べ25名ほどが参加しました。
この合宿に参加すると、山形県の月山での合宿に参加する資格が得られます。昨年の夏は、ニュージーランドにも延べ10人ほどで出かけました。今年はヨーロッパに行こうという話もしています。
リフトの上で仕事をすることも
私と常に行動を共にするアシスタントは1年の任期で交代するのですが、「運転」と「英語」ができること、そして、「スキー上級者レベル」を条件にしています。去年の月山の合宿では、リフトに乗っているときにアシスタントに仕事の電話がかかってきて、頂上に着くまでに案件が1つ解決しました(笑)。
もともとオンとオフの切り替えをあまり意識していないので、リフトの上で仕事をすることになっても気にしません。むしろ、いい仕事場だと思いますね。食事中にスタッフの間で仕事の議論が始まったときも「そんなことはリフトの上で話したら?」と言いました(笑)。スキー合宿では、職場で話をするときとはまた違ったコミュニケーションが取れるようにも思います。
70代で今のように滑るのは難しいだろうと思っていたのですが、ニュージーランドのスキー場で70代の日本人男性と知り合い、考えが変わりました。彼はそのスキー場で最も多い滑走距離を達成したことで表彰されていたのです。彼は7月から9月までのシーズン中は現地の自宅からシーズンパスで通っていて、私よりはるかに滑っているんですね。そんな大先輩と出会って、70代でも滑れると自信を深めてしまいました(笑)。
70代でスキーを楽しみ、仕事を現役で続けるためにも、健康管理はますます重要になってきますね。
(まとめ:田村知子=フリーランスエディター/インタビュー写真:増井友和)
取材を終えて
多忙を極める経営者の取材には調整に時間がかかることも少なくないが、星野代表に最初にコンタクトをとったのは、昨年の6月。それから何度か広報の方と交渉をして、年末に福島の「星野リゾート アルツ磐梯」でインタビューをアレンジしていただいた(撮影は「星野リゾート 裏磐梯猫魔スキー場」)。取材の承諾が得られたのは、スキーの滑走シーンの撮影があったからかもしれない(笑)。
星野さんは「スキーに言い訳はしたくない。行きたいから行くだけ」と話したが、並大抵の仕事の仕方をしていては、年間60日以上の滑走日数を確保できるはずもない。仕事のパフォーマンスを発揮してこそ、スキーも存分に楽しめるのだろうと感じた。何より、健康について、スキーについて溌剌(はつらつ)と語る星野さんから、こちらも元気をいただけた。今年は20年以上ぶりに、スキーをやってみたいとも思えた。(田)
■星野氏のカラダ資本論
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星野リゾート代表
