日経グッデイ

現役エージシューターの「山あり、谷あり、ゴルフあり!」

82歳エージシューター、朝の日課は布団の中で「筋トレとストレッチ」

第4回…「食事は痛風に気を付けプリン体を控えます」【赤﨑俊美さん】 

 高橋健二=ノンフィクションライター

ゴルフを嗜む者であれば、生涯に一度は経験したいことが3つあるとされる。「ホールインワン」「アルバトロス」、そして「エージシュート」だ。偶然などによってもたらされることが多いホールインワンなどとは違い、自分の年齢よりも少ない数字のスコアで回るエージシュートは、真の腕前だとされる勲章の1つ。そして何より、70代、80代、90代…でゴルフができる「元気の証」でもある。ゴルフを始めた経緯も、その人生も様々。現役エージシューターから学ぶ「体のこと」「ゴルフの極意」をお届けする。

腱板断裂のほか、痛風、肘部管症候群…満身創痍の体

 82歳にして、今もハンデキャップ3.8を維持している赤﨑俊美さんの年間平均スコアは、この3年間ずっと70台をキープしている。ちなみに直近の3年分は次の通りだ

  • 2013年は165ラウンドしてエージシュート148回、平均スコア75・82
  • 2014年は142ラウンドしてエージシュート120回、平均スコア77・60
  • 2015年は134ラウンドしてエージシュート119回、平均スコア77・83
  • (注:2015年は10月末現在)

 一見してわかるように40年のゴルフ歴の中で80歳を過ぎた今が絶好調といわんばかりの数字が並ぶが、これらは何もしないで成しえたものではもちろんない。むしろ日々の小さな努力の積み重ねによるといってよい。

両肩腱板断裂でスイングがコンパクトになり、スイング軌道の正確さが増した赤﨑さんのフィニッシュ。

 赤﨑さんが両肩の腱板を断裂していることはすでに紹介した(参照記事:『 82歳エージシューター、肩の手術をやめた理由は「前よりスコアがいいから」 』)。それ以外にも、いろいろな疾病を抱えている。

 「まず痛風の持病があるので、毎日、痛風の薬を飲み、肩と腰と膝に湿布をしています。あと、肘部管症候群(*1)があり、冬になると左手が痺れてクラブが握れない時期もあったのですが、その治療薬としてビタミンB12を服用しています。さらにコレステロール値が高いので、3カ月に1回、血液検査をして、かつ悪玉コレステロールを抑える薬を飲んでいます。そのほか60歳のときに膀胱にできたポリープを手術しています。腱板の周囲の筋肉をつけるリハビリもしないといけない。歳が歳ですから、いろいろガタがきているんですよ」(赤﨑さん)

 まさに満身創痍…。前々回の記事(『クラブに仕事をさせれば、82歳でも飛距離は伸びる!』)で「一病息災」と紹介したが、抱えているのは一病どころではない。でも、ゴルフは土日祝日を合わせて週4回以上、コンスタントにラウンドし、平均スコアが70台。病は気からというが、気持ちのありようがいかに大事かを赤﨑さんは如実に示している。

 そんな赤﨑さんはいったい、どんな日常生活を送っているのだろうか。

(*1)肘の酷使が原因の1つとされ、指を曲げ伸ばしたり、開閉したりする筋肉の動きを司る尺骨(しゃっこつ)神経が麻痺する疾患。

起床前の布団の中でストレッチや筋トレが日課

 赤﨑さんが起床するのは朝の6時から7時の間である。

 「5時には目が覚めているのですが、布団から出るのは6~7時です。その間に布団の中でテレビを見ながら3キロの鉄アレイを持って、肘から先の部分を上下動して、腕の筋トレをしているんです」(赤﨑さん)

 鉄アレイによる腕の筋トレは両手を合わせて4~5分。それが終わると、次は腰のストレッチに入る。

 「あお向けに寝たまま腰を支点に両足を上下動させて、股関節を小刻みに動かします。このストレッチをやると、前日ラウンドして腰が重たいときも一発で動けるようになります。そのあと足首を曲げ伸ばしする。それでも腰が重いようなら、上体を起こして座り歩きをする。両足を前に伸ばした状態でお尻を床につけて座り、その尻を動かして前に進む運動です」(赤﨑さん)

 こうして朝の日課で十分にウォーミングアップをした後に、ようやく床から出る。

「痛風によくない、プリン体の多い食品は控える」

 朝食は午前7時前後。メニューはパンと牛乳と野菜ジュースが定番で、昼食はゴルフ場のレストランで食べることが多い。

足を揃えて直立したままの姿勢で両手が床につく。82歳とは思えない体の柔軟性が、肩が不自由なハンデをカバーしている。

 「ホームコースではだいたい野菜の入った皿うどんやおそばを食べます。週に1回は肉を食べますね」(赤﨑さん)

 夕食は自宅で、焼き魚か刺身に味噌汁、ごはんの組合せ。ほかにキャベツともやしを多くして豚肉を入れた野菜炒めや、大根、ニンジン、ゴボウ、レンコンなどの根菜類と鶏肉、揚げ、豆腐などをよく煮込んだ煮しめ(筑前煮)が得意料理だという。

 実は赤﨑さんは50歳のときに奥さんを亡くしている。以来、ずっと一人暮らしで、料理はすべて自分で作る。ブリの切り身の焼き魚や煮しめなどが多いのも、一度に作り置きしておくことができるからだろう。

 「焼き魚はブリやアジを1尾買ってきて、自分でさばきます。ブリなどは切り身にして、一塩してラップで包んで冷凍しておき、食べるときに解凍して焼くと美味しいですよ。時々、干物も作ります。ただし干物はプリン体が多く、痛風にはよくないので、干しても一夜干しにします」(赤﨑さん)

 自宅でステーキを焼くこともある。

 「月に2~3回はステーキですが、多いのは豚肉です。痛風があるので肉は食べなかったのですが、歳を取ると筋肉が落ちると聞いてから、週に3回は野菜炒めなど野菜と一緒の肉料理を積極的に食べるようにしています。好き嫌いはありません。何でも食べますが、痛風によくないもの、プリン体の多い食品は控えます」(赤﨑さん)

 お酒は飲まない。

 「62、63歳までは飲んでいたのですが、競技に出るようになってから、酒を飲みすぎると翌日のゴルフに差し支えるので、控えるようになりました。すると、飲まないほうが調子がいいので、じゃあ一切飲まないようにしようと。今は年に1度、会社のOB会で飲むくらいで、ふだんは誘われても断ります」(赤﨑さん)

「ダボ」に対する人一倍強い警戒心が安定したスコアを生む

 ゴルフがない日は散歩やストレッチ、庭木いじりをして過ごす。若い頃は勝負事が好きで、碁や将棋を嗜み、マージャンは仕事仲間と一緒にやってほとんど負けなかったという。だが、今はゴルフ一筋だ。

 「以前は暇つぶしにパソコンで碁や将棋を指しましたが、目が疲れるのでやめました。パチンコなどの賭け事も一切やりません」(赤﨑さん)

 マージャンに強かったという勝負強さは、ゴルフにも生きているのだろうか?

ラウンドの内容はすべて大学ノートに記録。詳細なメモが記されている。

 「それはどうかわかりません (笑)。マージャンは負けたらすぐお金を払わないといけないのに対し、ゴルフは仮に1番ホールでボギーを叩いても、残りのホールでいつか返せるという思いがあるから、気分的に楽ですね。ただ、ボギーはバーディを取れば1度に返せるけど、ダボを叩くと、2度バーディが必要になる。私が80歳を超えても、なんとか70台のスコアで上がれるのは、ダボに対する警戒心が人一倍強いからではないでしょうか」(赤﨑さん)

 赤﨑さんは、これまでのラウンド記録を1冊のノートにすべて克明に記録している。そのノートは、これまでのゴルフのキャリアですでに6冊になる。

 「ゴルフの記録として一番こだわっているのは平均スコアです。1年間の平均スコアを幾つに収めるか。平均スコアでコンマ以下までこだわると、1打、1打を大事にするようになる。ダボが増えると平均スコアがなかなか上げられなくなる。こうした意識があると、OBなどは絶対に打たなくなります」(赤﨑さん)

 ダボやトリプルを連発して、「あぁ~。今日はもうダメだ」と途中で投げてしまっているゴルファーは、一度、年間平均スコアを下げることに挑戦してみたらどうだろうか。赤﨑さんのように、1打を大切にする意識が、ゴルフでどれだれ大切なことなのかが分かってくるはずだ。

高い目標と挑戦が、持病に負けない原動力に

 赤﨑さんに限らず、シニアゴルファーは、多かれ少なかれ何らかの持病を持っている。ましてやエージシュートを狙うくらいゴルフに入れ込んだ人ともなれば、体に故障がない人はいないといっていいだろう。

 両肩の腱板を断裂し、痛風や肘部管症候群の疾病を持ち、さらにコレステロール値に気を配り…。それでもなお、年間150回以上ものラウンドをこなし、70台のスコアを維持し続けながら、エージシュート達成の記録を今なお更新し続けている。高い目標を持って挑戦を続ける強い意思が、持病をものともしない赤﨑さんの原動力になっていることは疑いようもないだろう。

<了>