「残った28府県を訪れ、全国のゴルフ場を制覇しよう」
エージショートを目指すゴルファーたちには、ラウンドした日付、コース、その特徴、同伴競技者名、スコア、その日の調子や気づいたことなどを細かく記録して残す “メモ魔”の性癖があるが、菅さんも例外ではなかった。35歳のときからラウンドしたコースをすべて記録に取り、コースオリジナルのボールマークも収集していた。
「あるとき、ボールマークを整理して日本地図の上に都道府県別に貼り付けていたら、それまでに19都道府県でラウンドしていることが分かったのです。仕事で出張するたびにラウンドしていたら、いつの間にかそれだけの数になっていた。それならば残った28府県のゴルフ場を訪れ、全国47都道府県のゴルフ場を制覇してやろうじゃないかと思い立ったのです」(菅さん)
新たな目標を掲げて以来、足掛け18年。ついに達成の日がやってきた。
2011年4月8日、菅さんが74歳の誕生日を迎えた6日後に47都道府県でのラウンドを達成。実に629コース目での制覇だった。それを記念して、菅さんは『47の足跡』という自作の記念冊子を作った。その1ページ目に「丈夫のゴルフ史」というタイトルをつけ、次のような文章を寄せている。
「35歳にしてゴルフに目覚め、酒、タバコを止めて1年間365日雨の日も、風の日も、平日は会社の帰りに3時間、土日祝日は終日練習をし、シングルプレーヤーの仲間入りができました。それから42年間多くの方々の協力を得、日本全国47都道府県のゴルフ場、629コースの芝に足跡を残させていただきました。
都道府県制覇目標ツアー46番目のプレーコース奈良県、法隆寺CC、奈良万葉CCには、三瓶、山下、石塚様方のご同行をお願いし 最終47番目のコース京都府は市内が一望できる京都国際カンツリークラブへは細山田ご夫妻、小土橋ご夫妻にご同行をお願いし、40年間74歳にして念願の47都道府県制覇の夢を達成することができました(中略)。
大勢のご同行下さった方々、プレーさせていただいたゴルフ場と、一番協力してくれた家内(千恵子)にはと特に感謝しております・・・頭が上がりません」(菅丈夫著『47の足跡』より原文ママ)
「3K」+「目標」が肉体と精神の両面を支える
この連載でも何度か触れてきたが、エージシュートを果たした人、これから目指そうとしている人には、共通するあるキーワードがある。まず「3K」が旺盛なこと。好奇心、向上心、行動力。この3Kの旺盛さは、前2回に渡ってご紹介してきた菅さんの練習法をはじめ、それを継続してきた前向きさをお読み頂ければ理解できるだろう。
次に、エージシューターたちは「目標作り」が上手い。菅さんが掲げた47都道府県のゴルフ場制覇は、誰もが思いつきそうだが、実行に移す人はなかなかいない。前述したように“メモ魔”でもあることによって、自分の足跡を振り返ることができ、そこから新たな目標を思いつく。すると好奇心や向上心が旺盛だから、またすぐに行動に移す…という好循環が生まれていく。
しかし、忘れてならないのは、こうした新たな目標設定が、年々衰える体力や気力の維持向上の原動力になることだ。
菅さんをはじめとするシニアゴルファーたちが生き生きとしているのは、新たな目標設定によって肉体面と精神面の健康を高めているからに違いない。
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